海洋学部海洋生物学科ではJR静岡駅ビル「パルシェ」で、3月8日にシンポジウム「海洋生物の素顔」を開催しました。本学科の教育?研究成果を広く社会に還元するとともに、地域の方々に海洋生物に関する知識を深めていただき、その保全や共存の道を探る契機にすることが目的です。今回は、クラゲやマグロ、クジラ、イルカといったなじみのある海洋生物の知られざる生態をはじめ、採取した海水からその海域に生息する生物の種類やおおよその生物量を把握する「環境DNA技術」に関する研究などについて、本学科の教員4名が解説しました。

小学生や地域住民ら約40名が来場した当日は、初めに西川淳教授が「クラゲの不思議な生活」をテーマに講演。冒頭でアニメキャラクター「メノクラゲ」や「キクラゲ」といったクラゲと名の付くものを紹介して笑いを誘い、クラゲの分類や構造、強い毒を出す刺胞(クラゲの毒針)の仕組み、ヒトがよく刺されるハブクラゲについて刺されないための注意や刺された後の処置などを丁寧に説明。「take home message」として、すべてのクラゲが毒針(刺胞)を持つ一方で、そのすべてがヒトを刺傷させるわけではなく、古くから食用にされるなど人類の役に立ってきた部分についても説明。本学科におけるクラゲ研究の概要についても紹介しました。
続いて、藤岡紘准教授が「マグロという生物-どこを泳いでいる?-」と題して講演。本学部のある静岡市清水区が国内で有数の水揚げ量を誇るマグロについて、種類や年齢の調べ方、寿命などを解説。太平洋における回遊経路を調べるために魚体に取り付けるセンサーの実物を参加者一人ひとりが手に取って興味深く観察しました。藤岡准教授は、「身近な高級食材である海洋生物の“素顔”を一緒に探求しましょう」と呼びかけました


次に、野原健司教授が「海水から海の生き物のことがわかる?-環境DNA技術とは-」をテーマに、専門である分子生態学の概要をわかりやすく解説。海洋資源の保全などの分野で注目される環境DNA技術について、採集?分析の方法などを紹介しました。野原教授は、個体ではなく海水を採集して調べるので海洋資源保護に資する技術である一方、人間の活動などにより影響を受けることもあると説明。駿河湾などで実際にサンプリング調査をした結果なども紹介しました。


最後に村山司教授が「イルカと話したい!」と題して講演。これまでの研究活動とその成果を紹介し、実際に水族館で行った実験についての方法など詳細に解説しました。村山教授は、「イルカにはヒトの行動や声をまねし、ヒトと同じような方法で言葉を覚える認知機能がある」と説明。自身の研究半生を振り返り、参加者に向けて「夢を持つことは楽しい。あきらめずに努力すればかなうこともあります」と語り掛けました。
参加者からは発表者ごとに「クラゲに寄生する生物のメリットは?」「観測機器を回収したらどこに持ち込めばいいのか」「海底でじっとしている生物からも海にDNAは出されているのか」「駿河湾のイルカの生態は?」など、活発な質問が出され、各教員が丁寧に答えました。この講演会を楽しみに名古屋市から訪れたという親子連れは、「研究がこんなに面白いとは思いませんでした。さまざまな海洋生物について知ったことでますます興味がわきましたと話していました。