医学部付属病院では6月1日に伊勢原キャンパスで、「お産と育児」をテーマに市民公開講座を開催しました。本病院では、母体や胎児に健康上の問題がある妊産婦や集中治療が必要な新生児の外来?入院診療、救命救急対応を行う総合周産期母子医療センターを設置し、産婦人科や小児科、小児外科などが緊密に連携して地域の高度周産期医療を担っています。今回は、本センターの医師と助産師が、妊娠、出産、育児に関する知見や留意点について解説。オンラインでも配信し、約100名が聴講しました。
初めに、本センターの石本人士所長(産婦人科医師、医学部医学科教授)が登壇。「地域の皆さんに医学や医療に関する適切な情報をお伝えする講座です。自分自身やご家族のために役立てていただければと思います」とあいさつしました。
続いて石本所長とMFICU(母体胎児集中治療室)の八木良美助産師(主任看護師)が、「妊娠から出産まで―皆さんに知っておいていただきたいこと―」をテーマに講演。石本所長は、胎児の発達過程とそれに伴う母体の変化、陣痛の仕組みなどについて解説し、「赤ちゃんが生まれるまでにはいくつものハードルが待ち受けています。出産の際は母子ともにストレスがかかるため、医学的な対応が大切です」と述べました。八木看護師は、将来の妊娠に備えて女性やカップルに健康管理を促す「プレコンセプションケア」の取り組みや妊婦健診の意義を説明し、「妊娠中は体と心の変化が特に大きくなります。一人で心配や悩みを抱え込まず、助産師や保健師に相談してください」と語りかけました。
休憩を挟んで、小児科の内山温診療科長(医学部医学科教授)が「育児―最初の1年―」と題して講演。産声の役割や乳児期における視線や表情によるコミュニケーションの重要性、乳児健診の目的などを説明しました。また、低出生体重児のための子育て手帳「リトルベビーハンドブック」についても紹介し、「育児で最も大切なのは、ほかの子どもと比べないことです。その子なりの成長や発達を見守ってください」と強調しました。最後に、小児科の山田佳之医師(同)が参加者への謝辞を述べ、「皆さんと共に子どもたちの成長を支えていきたいと思っています。引き続き地域の方々に貢献できるよう努めていきます」と結びました。
なお、休憩時間と終了後には、モデル人形を使って妊娠初期から後期までの胎児の大きさや重さを体験するコーナーも設置。看護師の説明を受けながら、夫婦や親子が人形を抱く姿が見られました。来場者からは、「インターネットでさまざまな情報が流れてきますが、正しい知識を持つことが大切だと認識しました」「妊娠?出産は母子ともに命がけなのだとあらためて感じました。夫としてできるだけサポートしたい」といった感想が聞かれました。