医学部基盤診療学系法医学の垣本由布助教がこのほど、2014年度「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞」を受賞し、フランス大使公邸で表彰されまし た。この賞は、世界有数の化粧品会社であるロレアルグループがユネスコと共同で行っている女性科学者の支援プロジェクトの一環で、世界60カ国以上で展 開。日本では、日本ロレアル株式会社が2005年に創設し、国内の大学院博士後期課程に在籍、あるいは進学予定の若手女性科学者が研究?教育機関で1年間 研究を継続できるよう奨励し、助成しています。今年度は垣本助教を含む4名が表彰されました。
垣本助教が表彰されたテーマは、京都大学大学院の医学研究科法医学講座で取り組んでいた「ホルマリン固定組織のタンパク質分析による急性心筋梗塞早期診断 マーカーの発見」です。これは、突然亡くなった人の死因解明に際し、急性心筋梗塞の有無を迅速かつ正確に診断することを目的に、現在主流である血液検査で はなく、心臓組織内にあるタンパク質の変化から疾患を読み取ろうというものです。
今回の受賞について垣本助教は、「法医学というと殺人や不可解な死因を探るイメージがありますが、実際は症例の6割が病気による突然死です。法医学が扱う 研究の幅広さを社会に認知してもらう一因になればうれしいです。今後もいただいた名誉に恥じない研究をしたいと思います」と喜びを語っています。また、 「法医学の立場から突然死の要因を解明することで疾患予防につながれば、亡くなった人々の命が社会へ還元されて役立つはずです。今後も病理学や臨床医学に フィードバックできる研究を目指していきたい」と抱負を話しています。