医学部の学生と大学院健康科学研究科の大学院生が2月26日と3月4日に、医療通訳ボランティアの養成と派遣活動などを展開している認定NPO法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)が横浜市内で実施した医療通訳の研修に、初めて協力しました。この研修は、病院などで活動する医療通訳者が各自の心構えや技術を振り返るなど、より適切な通訳を行うために定期的に行われています。今回は、かながわ県民センターなど3会場で9言語について実施され、学生たちは、英語、スペイン語、ベトナム語、中国語、タイ語、タガログ語の研修をサポートしました。
協力したのは、伊勢原キャンパスの学生で構成するbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户チャレンジセンター?ユニークプロジェクト「Tokai Health Design Project(THDP)」のメンバーで、医学部5年次生3名と1年次生3名、大学院健康科学研究科の2年次生1名の計7名です。本プロジェクトは、医療福祉系の学生が主体となって地域におけるヘルスケアのあり方をデザインすることを目的として、今年度から活動を開始。MICかながわのスタッフを招いての講演会や乳がん検査の啓発イベント「ピンクリボンフェスティバル」にボランティアで参加するなど、さまざまな活動に取り組んでいます。
今回の研修は、「心筋梗塞の疑いにより40代男性が救急搬送され、付き添っている妻に検査や処置について説明」「検査や処置が終了した男性患者の病状や治療方法について患者本人に説明」の2つのシーンについて、ロールプレイ方式で実施。日本人の医師、看護師役を担当した学生たちは、シナリオに沿って病名や症状、検査結果、治療方法などを日本語で説明し、研修生が交代でその場で聞いたことを通訳する方法で演習が進められました。
「あらかじめ説明会に参加し、医療通訳のルールや心構えなどを学んで当日に臨んだ」というプロジェクトリーダーの大川真代さん(医学部5年次生)は、「できるだけ簡単な言葉でゆっくりと話すことを心がけましたが、区切る場所や訳語が見つからないなどの難しさも感じました。言葉だけでなく文化や価値観の異なる外国人に病状や治療方法などを正確に伝えるためには、医療従事者と通訳者との緊密な連携が不可欠であることを学びました。大変貴重な機会をいただき感謝しています。今後は、学生のネットワークなどを通じて医療通訳の存在や大切さを広める活動もしていきたい」と意欲をみせていました。
MICかながわで医療通訳研修を担当している内藤まゆみさんは、「通訳を介しての診療の体験は医学生の皆さんの将来に役立つと同時に、最終的には日本語を母語としない患者さんのためにもなると考えました」と、学生に協力を依頼した理由を説明。「適切な通訳を行うためには、通訳者自身の技術はもちろん、医療従事者がどのように話すかも大切な要因になります。適度な長さで簡潔に順序立てて話してもらえると、訳す側が理解しやすいので、よりよい通訳につながります。日本語を母語としない患者さんに説明する際にどのような工夫が必要なのかを、日本人の患者さんに相対するときと同じように考えてほしいと思います」と話していました。