椎名隆教授らの骨髄移植の合併症の原因遺伝子に関する研究が血液学のトップジャーナル『blood』誌に掲載されました

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の椎名隆教授らの研究グループが、白血病などの治療法である骨髄移植で、患者とドナー(提供者)のヒト主要組織適合性抗原(HLA)の違いにより生じる合併症「移植片対宿主病」(GVHD)の原因となる新たな遺伝子の部位を発見。2月15日(日本時間16日)に血液学のトップジャーナルである『Blood』誌に掲載されました。GVHDの発症を抑制し、移植の成功率が高まると期待されています。

HLAは多くの遺伝子の組み合わせで構成されており、移植の際は「HLA-A」「-B」「-C」「-DRB1」の4つの遺伝子を可能な限り適合させます。椎名教授と琉球大学大学院医学研究科の森島聡子准教授らは、これ以外で合併症を引き起こしやすいと考えられている「HLA-DPB1」に着目。実際に骨髄移植を行った症例について、次世代シーケンサーを用いて同遺伝子の全領域を解析し、臨床データと照合してGVHDの原因となる部位を発見しました。椎名教授は、「患者とドナーのHLAの型を短時間で正確に判定することが、より安全で効果的な移植医療につながります」と本研究の意義について説明します。

次世代シーケンサーを用いたHLA遺伝子全領域の解析法は、椎名教授が2012年に論文発表したものです。15年にはより短時間で正確に解析できる手法を開発して世界的に注目されました。椎名教授は、「本解析法により、他のさまざまな疾患についても遺伝子レベルで病態を解明したい」と話しています。

※論文誌『Blood』web版はこちらをご参照ください
http://www.bloodjournal.org/content/131/7/808.long

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