医学部医学科が「タイ保健医療研修」を実施しました

医学部医学科の4年次生3名が9月8日から15日まで、「タイ保健医療研修」に参加しました。本学科では、2015年8月にタイ公衆衛生省と医療分野を担う人材育成での連携に向けた覚書を取り交わし、16年1月には同国のチュラロンコン大学医学部と学術交流?学生交換に関する協定を締結するなど、タイの医療関連機関との連携を推進しています。この研修は、タイの伝統医療や医療ツーリズムなどの見学を通じて統合医療やインバウンドに対する医療サービスを学び、日本の保健医療のあり方や将来像について考究することを目的に実施しているものです。

一行は、タイ公衆衛生省で医療制度や感染症対策に関する講義を受講。省内の伝統医療クリニックを見学し、伝統医療を体験しました。また、一次医療を担う地方のヘルスセンターや小?中規模の医療機関、リハビリテーションや伝統医療を行う高齢者施設を訪れ、地域の医療体制について学修。高度医療を提供する赤十字クイーンサバーン記念病院や医療ツーリズムを展開しているサミティベ病院、マヒドン大学シリラート病院応用伝統医療学センターといった最先端の医療機関も訪問しました。さらに、チュラロンコン大学医学部ではヨーロッパなどからの留学生とディスカッション。本学と学術交流協定を締結しているモンクット王ラカバン工科大学では医学部の学生と交流し、心不全に関するケースプレゼンテーションの授業を見学しました。

「3年次にデンマーク医療福祉研修に参加し、海外の医療制度に興味を持った」という鈴木瑛美子さんは、「高齢化の急速な進展や移民への対応、感染症対策といったタイの保健医療に関する現状と課題について、日本と比較しながら理解を深めることができました。西洋医学と異なるアプローチによって体を整えるという、伝統医療の考え方や手法に触れられたことも大きな収穫です。この成果を臨床実習にも生かし、患者さんの病気に注目するだけでなく“全身状態を診る”という視点を持って臨みたい。併せて、さまざまな国の医療制度に関する学びも深めていきます」と意欲を見せていました。

指導する加藤裕幸准教授(外科学系整形外科学領域)は、「学生たちは現地に身を置くことで、伝統医療の提供方法や普及?教育活動、自由診療で成り立つ医療ツーリズムのシステムについて、より深く学修できたと感じています。また、タイの医学生や留学生との交流は、勉学への意欲を高めるとともに、自分のキャリアを考える機会にもなったと思います。グローバルに活躍できる医師を目指し、今後も国際的な視点を持って学び続けてほしい」と話しています。