医学部付属病院が国際アルツハイマーデーの関連企画として特別講演を実施しました

医学部付属病院では9月21日に伊勢原キャンパスで、特別講演「認知症と共に生きる~家族や仲間と明るく楽しく生きるために~」を実施しました。同日は、国際アルツハイマー病協会と世界保健機関により「世界アルツハイマーデー」に制定されおり、日本でもこの日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めて普及啓発活動を実施しています。本講演もその一環として、認知症疾患医療センターが企画したものです。認知症専門医で群馬大学名誉教授の山口晴保氏による講演やシンポジウムを行い、医療?福祉関係者や地域住民ら多数が参加しました。

初めに、本センターの永田栄一郎センター長(医学部医学科教授)が登壇。「2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるとの予測もあり、超高齢化社会を迎えた今、認知症は避けては通れない課題です。この機会にぜひ理解を深めてください」とあいさつしました。

前半は、司会を務めた認知症看護認定看護師の澤居千栄美看護師による講師紹介に続き、山口氏が講演しました。山口氏は、2024年に施行された認知症基本法(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)の理念を説明し、本人の意思を尊重するケアの重要性を指摘。「認知症と診断された人も家族や介護者もポジティブに考えることが大切」と述べ、「楽しむ」「褒め合う」といった脳を活性化するリハビリテーションの5原則や、介護者が前向きになれる方法を紹介しました。また、認知症の発症機序や経過、治療法、リスク要因、予防法についても解説。最後に、「認知症になっても活躍している人は、その診断を受け入れた前向きな人です。認知症を長生きの勲章と捉え、適切な介護を受けながら楽しく暮らせることを理解してください」と語りかけました。

後半のシンポジウムでは、山口氏と認知症看護認定看護師の三浦洋平看護師が登壇。治療を拒む人や認知症と診断されても車の運転を続けたがる人への対応、介護するスタッフの心のケアといったさまざまな質問に医師と看護師の立場から回答し、参加者と意見を交わしました。最後に本病院脳神経内科の安部貴人教授が、「患者や家族、地域のケアスタッフの協力により、認知症と上手に付き合えることを理解していただけたと思います。ぜひ今日の学びを日々の生活の中で実践してください。私たちも外来診療やケアサポートチームの活動を通じて支援していきます」と結びました。

なお、9月17日から21日まで本病院東海ホールに認知症の予防や診断?治療に関するポスターを展示。医師、看護師、薬剤師、栄養士による相談会も実施しました。