4月6日に伊勢原キャンパスで、能登半島地震の被災地で活動した看護学科卒の保健師による座談会を開催しました。災害現場で被災者の支援に当たった保健師の経験を共有するとともに今後の業務に生かしてもらおうと、本学科の三橋祐子准教授が中心になって運営している「自治体保健師として働く卒業生の会」の特別企画として実施したものです。当日は、神奈川県から市町村の混合チームとして2月、3月に石川県珠洲市に派遣された卒業生3名と、ゲストとして招いた1名が登壇。オンラインを併用し、教員や卒業生、保健師の資格取得を目指す学生ら約20名が参加しました。
初めに、三橋准教授が座談会の趣旨を説明し、「一人ひとりが災害を“我がこと”と捉え、保健師としての活動や災害対策に生かしてほしいと思います」とあいさつ。続いて4名が、派遣の概要やスケジュール、現地に設置された調整本部で担当した業務、活動を通じて感じたことなどを報告しました。
中井綾さんは、アセスメントシートを使って各避難所の情報を収集?分析して全保健師チームに還元した活動を振り返り、「日ごろの保健師活動の積み重ねが災害時にも生かされると実感しました。“なぜこの作業が必要か”を常に意識することが大切だと思います」と強調。六郷尚樹さんは、食品衛生や感染対策の重要性を指摘し、「研修会やワークショップを開いて職場や多職種に還元し、災害対応の強化につなげたい」と述べました。
肥後里佳さんは、「今、自分の担当地域が被災したらどうなるかを真剣に考えました。この経験を、まずは災害時の活動マニュアルの見直しに生かしたい」とコメント。ゲストとして参加した伊勢原市健康づくり課の鈴木めぐみさんは、「支援に当たっては、被災地の人々が大切にしている文化や習慣などを尊重し、一人ひとりの意向を踏まえた対応が求められると実感しました」と振り返りました。最後に、災害を想定した準備や発災時における保健師の役割について参加者が意見を交わしました。
三橋准教授は、「登壇者の話題提供を受けて多様な視点からディスカッションし、災害対策や被災者の支援について考える貴重な機会となりました。緊急の要請で派遣された現場でも他職種や他のチームと連携しながら必要な保健師活動に取り組み、その体験を自身の担当地域に還元しようと努めている卒業生を頼もしく思います。今後も情報を共有する場を設けていきたい」と話していました。