医学部医学科外科学系整形外科学領域の酒井大輔教授の研究室に所属する留学生のルカ?アンブロシオさんと特定研究員のジョルディ?ショールさん、クララ?フェルナンデスさんらの論文が、「国際腰椎学会賞(ISSLS賞)?基礎医学部門」を受賞。5月27日から31日までイタリア?ミラノで開催された同学会の第50回大会で表彰式が行われました。ISSLSは、腰痛とその関連障害への理解と治療の促進を目的として1974年に設立された、脊椎分野で最も権威のある学会の一つです。
今回受賞した論文は、健康な人の椎間板髄核細胞から放出される細胞外小胞(細胞間のコミュニケーションを担う微小粒子=EV)」が劣化した椎間板を再生させることを、試験管内と動物モデルの実験によって明らかにし、その成果をまとめたものです。この結果は、腰痛の原因となる傷んだ椎間板を再生する根本的な治療法の開発につながると期待されています。3名は、「評価していただき大変光栄です。受賞は、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户医学部と同付属病院、イタリア?ローマ大学キャンパスバイオメディコの卓越したサポートと協力関係のたまものです」と話します。
さらに今回の大会では、クララさんとショールさんの論文「肥満と2型糖尿病における髄核細胞の変性を促進する炎症誘発メカニズムの調査」と、ルカさんとショールさんの論文「脊椎固定術を受けた患者の結果測定法開発」が、それぞれ基礎科学研究助成、臨床化学研究助成に採択。新たな視点から椎間板変性のメカニズムの解明や治療法を開発する研究が高く評価されました。
オランダ?ユトレヒト大学大学院出身のショールさんは、「東海大の優れたリソースと研究環境、生命科学統合支援センターの皆さんの専門知識と献身があっての成果です」とコメント。ローマ大学の卒業生で、医師として同大学病院整形外科で臨床にも携わるアンブロシオさんは、「ISSLS賞は私たちの研究に、献身的な姿勢や謙虚さ、友情といったかけがえのない要素ももたらしてくれました。腰痛治療のマイルストーンといわれる本受賞を励みに、臨床応用を目指してさらに努力します」と語り、スペインのサンティアゴ?デ?コンポステーラ衛生研究所から留学しているフェルナンデスさんは、「研究仲間の真摯な取り組みと貢献を誇りに思います。私たちが開発しているEV製品がどのように治療に利用できるかを追究するため、今後も仲間と共に研究を進めたい」と意欲的です。
3名は、「椎間板の再生医療に関する先進的な研究と、基礎研究を臨床に応用して少しでも早く社会実装を実現しようとする姿勢に感銘を受け、酒井先生の下で研究したいと考えました。研究のみならず、日常生活から事務的なサポートまで惜しみなく協力してくれる日本人のメンバーのおかげもあり、充実した研究生活を送っています」と語ります。酒井教授は、「母国も学んだ環境も異なる若い研究者が、腰痛を治すという共通の目標に向かって協力し、また切磋琢磨していることをうれしく思います。3名には、生涯の目標を見つけ、互いに刺激し合い、高め合ってそれを実現してほしい。そのためにも、研究室のメンバーが自由に存分に研究に取り組める環境を整えていきます」と話しています。