大学院医学研究科では8月8日に伊勢原キャンパスで、小学校の教諭を対象とした「がん教育」に関する講演会を行いました。本学は、文部科学省の「がんプロフェッショナル養成プラン」の選定大学となり、2007年度から他大学と連携して活動を開始。2012年度からは「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」として、慶應義塾大学を中心とした9大学とともに「高度がん医療開発を先導する専門家の養成」に取り組んでいます。この講演会はその一環として、同年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に盛り込まれた、子どもたちへのがん教育の推進を目的に開催したものです。当日は、一般社団法人がん哲学外来の理事長で順天堂大学医学部の樋野興夫教授(病理?腫瘍学)が、「がん教育~がん哲学外来の知恵~」をテーマに講演し、伊勢原市、平塚市内の小学校教諭ら約20名が参加しました。
樋野教授は、がんの発生要因や特徴のほか、国内では年間約100万人ががんを発症している状況を紹介し、「早期がんは治療により治癒する可能性が高く、現在は、がんと共存する時代になっている」と説明しました。また、小学生へのがん教育について、「子ども時代に学んだことは必ず覚えているはず。教育は30年後に生きてきます」と語り、がんに対する正しい知識を身につけさせるだけでなく、がんなどの病気を持つ人をあたりまえのように受け入れ、ともに生きる社会をつくる意味でも大切であると指摘しました。
参加者は、「小学生に対するがん教育は、単に『がんとはこういう病気だ』と説明するだけでは意味がないと思っています。研究者であり教育者でもある樋野先生のお話は、ご自身の経験を踏まえた情操教育や道徳教育などにも関連する内容で、大変参考になりました」「がんに関する正しい知識を伝えて予防に役立ててもらうだけでなく、他者を受け入れて助け合う精神や、命の大切さなどを伝えられるようながん教育のあり方を考えていきたい」などと話していました。