医学部では4月23日に伊勢原キャンパスで、「2017年度医学部研究成果報告会」を開催しました。本報告会は、医学部内の研究費助成制度の採択を受けた研究について、1年間の成果を発表するものです。当日は、本学部の教職員や大学院生ら研究者約80名が出席しました。
はじめに、本学部の坂部貢学部長が登壇。「研究力のボトムアップに向けて全学を挙げて取り組む中、本学部は大きな役割を担っています。本報告会ではさまざま報告を聞き、ぜひ活発に意見を交換しながら、各研究をさらなる発展につなげる有意義なものにしてください」とあいさつしました。
前半は、医学とその関連諸領域における研究レベルの向上に寄与すると認められる優れた研究を重点的に支援する「医学部研究助成金(重点的研究)」を受けた7件と、過去に本助成を受けた重点的研究のうち、審査の結果、さらなる成果が期待される研究に対して助成する「医学研究基金」を受けた1件について各研究者が成果を発表。後半は、将来を嘱望される研究者の主導による、医学?生物学分野における創造的かつ先端的な研究について助成する「医学部プロジェクト研究」の採択を受けた研究4件について代表者が報告し、各発表について活発な質疑応答や意見交換を行いました。また、研究期間中の10テーマについても、中間報告として進捗状況をポスター発表しました。
なお、発表者と研究テーマは以下のとおりです。
◇口頭発表
【医学部研究助成金(重点的研究)終了報告】
1.加藤明准教授(基礎医学系生体構造機能学)
ストレス負荷が引き起こすアロスタシンが運動学習に及ぼす影響とそのメカニズム
2.恒松鈴香(基礎医学系分子生命科学 2017年度大学院医学研究科修了)
脳萎縮による歩行異常を示すAGA3変異マウスの表現型解析及び原因遺伝子の探索
3.八幡 崇准教授(基盤診療学系再生医療科学)
造血幹細胞の運動性制御機構の解明
4.中野泰博特定研究員(基盤診療学系再生医療科学)
成熟肝細胞を起源とした肝前駆細胞の線維肝再生における機能の解明
5.関根佳織講師(基礎医学系生体構造機能学)
重症心不全に対する細胞シート移植による再生環境細胞治療の確立
6.河野光智准教授(外科学系呼吸器外科学)
肺悪性腫瘍に対する経気管支的凍結融解壊死療法の開発
7.高木岳彦講師(外科学系整形外科学)
上肢切断患者へのNerve-machine interfaceに基づいた筋電義手の開発
【医学研究基金報告】
1.小路直准教授(外科学系泌尿器科学)
前立腺癌に対する3次元的局在診断に基づく局所治療の確立
【医学部プロジェクト研究報告】
1. 大塚正人准教授(基礎医学系分子生命科学)
CRISPR/Cas9系による遺伝子挿入基盤技術の構築と病態解析モデルマウス作製への応用
2.佐藤健人准教授(基礎医学系生体防御学)
ヒトiPS細胞とゲノム編集技術を用いた「オートファジー病」研究
3.穂積勝人教授(基礎医学系生体防御学)
造血前駆細胞の未分化性維持と腫瘍発生の分子基盤解明
4.長谷部光泉教授(専門診療学系画像診断学)
血小板のメカノバイオロジーに基づいた次世代血管内留置型デバイスの開発
◇ポスター発表
【医学部研究助成金(重点的研究)中間報告】
1.遠藤整講師(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
がん微小環境適応における代謝リプログラムングを標的とした治療法の開発
2.柳川享世特定研究員(基盤診療学系再生医療科学)
新規肝再生促進因子に着目した難治性肝硬変に対する革新的治療法の創生
3.矢沢正樹(内科学系血液?腫瘍内科学 大学院医学研究科2年次生)
腸内細菌叢の多様性を担うIgA生産機序の解明
4.小路直准教授(外科学系泌尿器科学)
前立腺癌に対する癌局所療法(focal therapy)の確立
5.宮澤麻里子特定研究員(専門診療学系産婦人科学)
癌の微小環境をターゲットに治療効果と有害事象に着目した新たな抗腫癌薬の開発
6.柏木寛史臨床助手2種(専門診療学系産婦人科学)
炎症を伴う異常妊娠とのPZPの関連性の解析
7.小見山智義准教授(基盤診療学系臨床薬理学)
神経調整性失神患者のアデニル酸シクラーゼ活性量を用いた新たな診断?治療法の開発
8.本島英講師(基盤診療学系臨床薬理学)
転写因子の競合によるポドサイト障害の拡大
9.酒井大輔准教授(外科学系整形外科学)
脊柱変形、側弯症の成因探索と治療法開発―椎間板組織と3次元動作の解析から―
10.池田仁惠講師(専門診療学系産婦人科学)
血性網羅的糖ペプチド解析を用いた卵巣癌早期発見診断および個別医療診断システムの開発