医学部医学科では4月4日、5日に神奈川県箱根町で、新入生研修会を実施しました。学生同士や教職員との共同体験を通して大学生活への動機づけを高め、一人ひとりが学習目標を設定する機会とするために行っているものです。新入生109名と教職員、上級生が参加し、グループワークなどを通じて交流しました。
開会式では、副学長の坂部貢医学部長をはじめ、副学部長や教育計画部長らがあいさつ。坂部学部長は、「新入生研修会は医学科の創設時から実施しています。私も1期生として参加し、生涯の友人を得ることができました。この2日間が、皆さんにとって実り多い研修になることを願っています」と語りました。
初日は、はじめに体育学部生涯スポーツ学科の川向妙子名誉教授の指導のもと、ゲームやアクティビティーでリラックス。その後、懇話会(学習をともにする小人数グループ)に分かれ、各懇話会の担当教員を交えて「AI時代における医師の素養」をテーマに討論会を行いました。続いて実施した講演会では、和泉俊一郎特任教授(専門診療学系産婦人科学)が、本学の創立者?松前重義博士が掲げた建学の精神や、「科学とヒューマニズムの融和の精神に基づき良医を育成する」という医学科の教育理念、医師免許取得後のキャリアプランニングなどについて説明。豊田雅夫准教授(内科学系腎?代謝内科学)は、自身が担当した女児患者が、家族とともに病気と向き合いながら看護師になるまでの葛藤の日々を紹介し、「患者さんと家族が医師としての自分を育ててくれた」と語りました。夕食後には伊勢原キャンパス?オリエンテーション委員を務める医学科2年次生が企画した交流会で、学生同士が親睦を深めました。
2日目は、初日の講演を受けて再び同じテーマについて懇話会別討論会を行い、結果をまとめて発表。最後に1年次生指導教員の穂積勝人教授(基礎医学系生体防御学)が、「実体験に基づいた推論力と患者さんや家族への共感力こそが、AIにはできない“医師による医療”を可能にします。多くの人との語り合いや読書などを通じて、他人の経験を自身の中に実体験として取り込み、推論力や共感力、人間力を培ってほしい」と期待を語りました。
研修を終えた学生たちは、「コミュニケーションは苦手でしたが、研修を通じて“自分の考えを知ってほしい”“他の人の意見をもっと聞きたい”と思えるようになり、殻に閉じこもっていた自分を開放できました」「懇話会別討論会では、さまざまな考えを持つ仲間から多くの刺激を受け、大学生活が楽しみになりました」「医師として必要な推論力や共感力、人間力を養うための足がかりとなる貴重な体験になりました。6年間かけて自身を鍛えていきたい」などと意欲を見せていました。