大学院医学研究科看護学専攻の教員らが、9月14日、15日に鎌倉芸術館で開催された「日本家族看護学会第31回学術集会」を企画?運営しました。本専攻の井上玲子専攻長が会長を務め、「いま、語り合おう! 臨床家の実践知、研究者の探究知、そして家族の体験知~ダイナミックな融合を目指して~」をテーマに多彩なプログラムを展開し、医学部看護学科の学生や大学院生、学園の看護職者が運営をサポート。研究者や医療従事者、福祉関係者ら約940名が参加しました。
開会式では井上専攻長が、「今回のテーマには、多様化した家族のあり方を認め、家族と専門職が互いを知り、協働して新たな看護?医療を目指したいという思いを込めました。皆さんと共に充実した学術集会にしたいと思います」とあいさつ。続いて、「家族看護の知のトライアングル」をテーマに講演し、家族中心の医療の実現を目指して取り組んでいる研究?教育?実践の概要を紹介するとともに、家族看護に関する課題と展望について解説しました。
2日目の市民公開講座では、本学体育学部競技スポーツ学科の卒業生で、2008年の北京オリンピック男子4×100mリレーの第一走者として銀メダルを獲得した塚原直貴氏が、「バトンパスから学んだチームワーク~子どもたちに託すスポーツの力~」と題して講演。鎌倉市の松尾崇市長をはじめ、多くの家族連れが参加しました。初めに、松尾市長が同市での学術集会開催と塚原氏に対する歓迎の言葉を述べ、「スポーツと医療支援には共通点があると思います。今日は改めてチームワークについて学び、考えたいと思います」とあいさつ。続いて塚原氏が、文化社会学部広報メディア学科4年次生の北島康二朗さんの質問に答えながら、選手同士のコミュニケーションやバトンパスの技術について実演を交えて子どもたちに指導し、「大切なのは、次の選手に負担をかけず、走りやすいように渡すこと。バトンパスは思いやりです。さまざまな人とバトンを受け渡しながらたくさんの経験を積んでください」と語りかけました。
運営をサポートした4年次生からは、「交流会で患者さんの家族から体験談を聞き、自分が目指す看護師像を考えることができました」「学会運営の体験を就職先で生かしたい」といった感想が聞かれました。井上専攻長は、「参加者の熱い思いが感じられた学術集会でした。家族看護にかかわる多様な人々の情報交換の場になるとともに、市民の皆さんが医療者と家族の協働や医療?看護の未来について考える機会にもなったのではないかと思います。本学の教職員や学生たちの団結力も頼もしく思いました。今回の成果を家族看護学分野のさらなる発展につなげたい」と話しています。