
医学部医学科の3年次生の髙橋晋太郎さんと奈良咲さんが、1月28日から2月2日までタイ?バンコクで開催された「2025年マヒドン王子記念賞国際会議※」(PMAC)に参加。タイの医師や医学生らと数名のチームを組み、会議の議事録を作成するラポーターを務めました。
PMACは、国際社会における保健関連の重要な課題の解決に向けて議論する国際会議です。今回は、「AI時代のテクノロジーでより健康な世界を築く」をテーマに講演やシンポジウムが行われ、世界保健機関(WHO)や世界銀行をはじめ、各国の政府関係者、研究者、市民団体の代表者らが参加しました。学生たちはラポーターを担当したほか、本会議に先立って開かれた複数のサイドミーティングを聴講。現地の医療機関を訪問するフィールドトリップにも参加し、国際保健やタイの先進的な医療?医学研究に関する知見を深めました。
髙橋さんは、「担当した分科会では、途上国で収集した健康関連データによる研究成果が平等に還元されない『データ植民地主義』という問題を認識し、フィールドトリップで訪れたマヒドン大学付属ラマティボディ病院では、仮想空間を教育や臨床に用いる最先端の技術を体験しました。国際保健に関するさまざまな問題に目を開かされ、デジタル分野での世界における日本の位置づけを知ったことも収穫です。医学に関する学びを深めるとともに、幅広い知識を得る努力をしたい」と話していました。
「先輩からPMACの体験談を聞いて参加を決めた」という奈良さんは、医療テクノロジーとAIの効果的なガバナンスに関するセッションを担当。「たとえすぐに解決策が見出せないとしても、各国の関係者が集まって課題の解決に向けて議論を続ける大切さや、国際間協力の重要性を学びました。また、タイの医学生の積極的な姿勢や、自分の考えを人に伝える力の強さに刺激を受けました。コミュニケーション力を高め、グローバルに活躍できるよう、さらに勉学に励みます」と意欲を見せていました。




2020年からラポーターとして参加している本学科卒業生の岡田まゆみさんは、「PMACは、学生たちが世界の保健医療の潮流を学ぶとともに、日本の現状や課題を認識する機会にもなっていると思います。ぜひ多くの学生に参加してほしい」と話していました。
指導するスポーツ医科学研究所の木ノ上高章特任教授は、「政権交代などの事情で参加を見合わせた団体もあり、学生たちは国際保健が政治の影響下にあることを実感したと思います。さまざまな人々との出会いから“化学反応”が引き起こされ、自分の意識や事物の見方が変わるといった体験もできたのではないでしょうか。学生のPMACへの参加は、本学がWHOと連携し、JICAの支援を受けて展開していた『bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户 21世紀保健指導者養成コース』などを通じて始まりました。本学学生の継続的なPMACへの貢献は会議顧問の間でも高く評価されており、今後も多くの学生の挑戦を期待しています」と話しています。


※マヒドン王子記念賞国際会議(Prince Mahidol Award Conference=PMAC)
タイ国政府とマヒドン王子記念賞財団が主催する、世界の保健医療について議論する国際会議。世界保健機関(WHO)や世界銀行、独立行政法人国際協力機構(JICA)、ロックフェラー財団、ビル&メリンダ?ゲイツ財団などが共催し、毎年同時期に実施されています。