医学部付属病院が「難病の新しい動向―難病講座―」を開催しました

伊勢原キャンパスの医学部付属病院難病治療研究センターでは1月29日と2月27日に、「難病治療の新しい動向―難病講座―」を開催しました。神奈川県の「難病医療連携拠点病院」に指定されている本病院では、難病の治療に関する研究を推進するとともに、患者や家族の医療相談や医療従事者の研修などに取り組んでいます。この講座はその活動の一環として、治療や療養に役立つ最新情報を提供するために実施しているものです。1月は腎臓、2月は骨の病気を取り上げ、専門医が原因や症状、診断?治療法、公的補助について解説。多くの患者や家族らが参加しました。

1月の講座では、本病院腎内分泌代謝内科の小泉賢洋医師(医学部医学科講師)が、免疫グロブリン「IgA」が腎臓の糸球体に沈着して腎機能が低下する「IgA腎症」について講演。薬や食事、生活習慣の是正といった治療法を説明し、栄養士や薬剤師ら多職種が連携した本病院の診療体制を紹介しました。続いて、虎の門病院腎センター内科部長の和田健彦医師が、腎臓にできた嚢胞により腎機能が低下し、60歳代までに約半数が人工透析や腎移植が必要になる遺伝性腎疾患「多発性囊胞腎」について解説。診断法や薬物療法、合併症対策のほか、遺伝子検査と遺伝カウンセリングの概要を説明しました。

2月の講座では本病院整形外科の鵜養拓医師(医学部医学科講師)が、大腿骨頭の一部が血流の低下によって壊死する「大腿骨頭壊死症」について解説。より正確な手術を行うために本病院でも導入している人工股関節全置換のロボット手術や、診療ガイドラインに基づく、さまざまな治療法の推奨度についても紹介しました。北里大学病院整形外科講師の宮城正行医師は、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨化して神経を圧迫する「後縦靭帯骨化症」と、背骨が左右に曲がる子どもの側弯症のうち「神経?筋原性側湾症」について講演。各疾患の症状や発症後の経過、手術法をはじめ、術後の痛みに注目した研究や、より安全で効果的な手術に関する研究の概要も説明しました。

本センターの佐藤慎二センター長(医学部医学科教授)は、「難病は原因不明で治療法が確立されておらず、慢性的に経過して後遺症が残る場合があるため、経済的、精神的に負担が大きい病気です。今後も診療や治療法の研究開発に尽力するとともに、患者さんやご家族、医療関係者に有用な情報を提供していきます」と話しています。

なお、講演のテーマと演者は以下のとおりです。
難病講座①(1月29日)
◇司会:駒場大峰(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户医学部付属病院腎内分泌代謝内科診療科長 
         腎?血液透析センター長 医学部医学科教授)
◇講演1「IgA腎症」
 演者:小泉賢洋(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户医学部付属病院腎内分泌代謝内科 講師)
◇講演2「多発性囊胞腎」
 演者:和田健彦氏(虎の門病院腎センター内科部長)

難病講座②(2月27日)
◇講演1「大腿骨頭壊死症~原因、治療、日常生活動作について~」
 座長:今井 洸(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户医学部付属病院整形外科 講師)
 演者:鵜養 拓(同 講師)
◇講演2「脊椎疾患の難病について」
 座長:檜山明彦(同 准教授)
 演者:宮城正行氏(北里大学病院整形外科 講師)