伊勢原キャンパスの医学部付属病院肝疾患医療センターでは3月12日に、ベトナム保健省職員らの研修を受け入れました。付属病院は神奈川県の肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、本センターは肝炎対策の遂行機関として診療にかかわる人材の育成や肝炎に関する啓発活動、相談支援に取り組んでいます。今回は、独立行政法人国際協力機構(JICA)がベトナム保健省予防医療局を対象に展開する「ウイルス性肝炎予防対策強化プロジェクト」に協力したもので、国立衛生疫学研究所副所長のチャン?ニュ?ズゥン氏ら13名が来訪。本センターの医師らが地域と連携して取り組んでいる肝炎対策について紹介しました。
初めに、本センターの加川建弘センター長(医学部医学科教授)が歓迎の言葉を述べ、本病院の概要やセンターの取り組みを説明。肝炎陽性者を早期に発見して治療につなげるための院内システムの構築や医療従事者向け研修、患者?家族の相談、市民公開講座、『肝臓通信』発行といった活動について解説しました。さらに、神奈川県と連携して養成する「肝疾患コーディネーター」の役割も説明しました。続いて、管理栄養士の安積正芳係長(診療技術部栄養科)が入院患者に提供する食事について紹介。疾患や治療状況、体格などに合わせてカロリーやタンパク質、脂質、食材、調理法を調整して提供する約50種類のメニューや、徹底した衛生管理下で適温の食事を提供するシステム、個別?集団に対する栄養指導について説明しました。



院内見学では、第4診療センター(消化器内科?外科)で医師?看護師が外来診療の流れを説明し、臨床検査技師が生理検査と検体検査の機器を紹介。栄養指導室、相談支援室では管理栄養士とソーシャルワーカーが、スタッフの体制や具体的な支援?相談内容を説明しました。研修団からは各所で多くの質問が寄せられ、職員らが丁寧に回答しました。終了後にはズゥン氏があいさつし、「ベトナムではB型?C型肝炎の陽性率が高く、その対策が大きな課題となっています。今日は講義や医療現場の見学を通じて、効果的な肝炎対策について多くの学びを得ることができました。今後の予防政策に生かしていきます」と述べました。



加川センター長は、「本センターの取り組みをベトナムの皆さんの肝炎対策に役立てていただければうれしく思います。引き続き多職種が連携して地域の皆さんの肝炎予防や診断?治療に尽力するとともに、国際貢献にも努めていきたい」と話しています。