医学部付属病院が「緩和ケア」をテーマに市民公開講座を開催しました

伊勢原キャンパスの医学部付属病院が3月15日に、「知ってますか?緩和ケア」をテーマに市民公開講座を開催しました。当院では地域の人々の健康増進に寄与するため、定期的公開講座を実施しています。今回は、がんなどの疾患による痛みやつらさを和らげる「緩和ケア」について、本病院の医師と看護師、薬剤師が説明しました。

初めに、緩和ケア内科の徳原真診療科長(医学部医学科教授)が登壇。「本学医学部は、全国でも数少ない緩和医療学の教育領域を設けています。また、付属病院には緩和ケアの専門病棟はありませんが、医師や看護師、薬剤師、臨床心理士といった多職種による医療チームを編成し、病棟や外来で患者さんやご家族の診療?支援に当たっています。本日は、緩和ケアに関する理解を深めていただければ幸いです」とあいさつしました。

続いて津田万里医師(医学部医学科准教授)が、「緩和ケアってな~に?」と題して講演。緩和ケアの定義を、「身体的?精神的?社会的?スピリチュアルな苦痛を和らげ、患者さんとご家族のQOL(生活の質)を向上させるためのケア」と説明し、診断時から治療と並行して提供する意義や多職種連携によるがん患者へのケアの実際を、事例を交えて紹介しました。薬剤科の池嶋美帆薬剤師は、「がんの痛みはとることができるの?」をテーマに、痛みの原因や痛み止めの種類と効果、医療用麻薬の有用性と適切な使用法について説明。看護部の畠山真由美看護師は、「家族ががんになったとき」と題して、がんと診断されてから治療法の選択に至るまでの過程や患者と家族の心の動きを、自身の経験を基に紹介しました。終了後には参加者から多くの質問が寄せられ、登壇者が丁寧に回答しました。

最後に徳原診療科長が、「緩和ケアをより身近に感じてもらえたことと思います。当院は『地域がん診療連携拠点病院』として、専門的ながん医療の提供をはじめ患者さんや家族に対する相談支援にも取り組んでいます。『がん相談支援センター』はどなたでも利用していただけますので、心配事がある場合はご連絡ください」と結びました。参加者からは、「がんと診断されたわけではありませんが、将来に備えて学びたいと考えて聴講しました。診断時から緩和ケアチームに関わってもらえると知って安心しました」「“痛みはがまんしなくていい”という言葉を聞いてほっとしました。家族や友人にも伝えたい」といった感想が聞かれました。