医学部医学科専門診療学系画像診断学の長谷部光泉教授(医学部付属八王子病院血管内治療センター長)が、6月4日から6日まで神戸国際展示場で開催された第51回日本IVR学会総会(第16回アジア環太平洋IVR学会総会、第14回国際IVR学会総会と合同開催)で、「The newest generation of below-the-knee drug-eluting stent: Hybrid nano-coating NiTi stent(次世代型膝下薬剤溶出ステント:ハイブリッド?ナノコーティング?ニッケルチタンステント)」と題して研究成果を発表し、「Featured Abstract」を受賞しました。
長谷部教授は、研究国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成30年度 「医療分野研究成果展開事業(先端計測分析技術?機器開発プログラム)」(5年間、約3億円)や、独立行政法人日本学術振興会の科学研究費助成事業(基盤研究B)の支援を受け、研究開発代表者として取り組んでいる「膝窩動脈以下 (below-the-knee:BTK) の細径動脈硬化性病変に対する長期開存ステントシステムの開発」の成果を、同学会で初めて公表。バルーン拡張術しか治療法がないとされていた膝下細径血管の動脈硬化性病変(重症虚血や閉塞性動脈硬化症)に対する治療材料として、画期的な薬剤溶出性ステントを世界で初めて開発し、動物実験において極めて良好な結果を得たことを報告しました。
長谷部教授は、「20年以上にわたる基礎研究をベースとしたこの研究は、2018年から本病院を中心とした国家的プロジェクトとなったことで加速度的に進化しました。長期にわたり積み重ねた成果が国際的に評価され、大変うれしく思います。今回の受賞は、チームのメンバーが日常の画像診断や救急症例を含む画像下治療(IVR)に従事しながら、それに加えて、日夜研究開発に取り組んだ努力の結果と受け止めています。当面の目標は、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA)に対する認可申請のための動物実験を成功させることです。医師をはじめ、学生や大学院生、博士研究員、企業の研究者といったチームの協働はもちろん、現在進行中のアメリカ?マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学との共同研究をさらに進展させ、一刻も早く臨床現場に新しい治療を届けて患者さんの笑顔をみたい」と意欲を語っています。