医学部医学科の三浦浩美助教(基礎医学系分子生命科学領域)がこのほど、国際哺乳類ゲノム会議「Mary Lyon賞」を受賞。3月28日から31日まで茨城県つくば市で開催された同学会第36回会議の最終日に、「CRISPRing mouse genomes made easy」と題して受賞講演を行いました。この賞は、イギリスの高名な遺伝学者であるメアリー?ライアン博士に敬意を表して設けられ、独立して研究室を立ち上げようとする若手の女性研究者に贈られています。
三浦助教は、個体レベルでの遺伝子の機能解析実験やヒト疾患モデル動物として広く利用されている「遺伝子改変マウス」作製法の研究開発に取り組んでいます。良質なマウスの簡便かつ効率的な作製を目指し、長いDNAを安定して挿入できる「i-PITT法」、長鎖一本鎖DNAを用いて高効率に挿入できる「Easi-CRISPR法」、受精卵を体外に取り出さず、卵管内への試薬挿入というシンプルな操作で完了する「i-GONAD法」などの開発に携わってきました。受賞講演ではこれらの方法の特徴や目的に応じた選択法について紹介し、参加した研究者らと質疑応答を交わしました。
本学科在学中から三浦助教を指導してきた大塚正人教授(基礎医学系分子生命科学領域/総合医学研究所)は、「遺伝子改変マウスは、疾患発症メカニズムの解明や診断?治療法の開発などに用いられる、極めて重要なツールです。三浦助教が初めて実証実験に成功し、2015年に論文発表した『Easi-CRISPR法』は、現在では世界中で使用されており、遺伝子改変マウス作製法の主流の一つとなっています。今回の受賞は、広く普及する技術を開発した実績に対する評価であるとともに、三浦助教に対する期待の表れでもあると思います」と語ります。
三浦助教は、大学院医学研究科マトリックス医学生物学センター長の稲垣豊教授(基盤診療学系先端医療科学領域/現?特任教授)らが文部科学省の支援を受けて取り組んだ臓器線維症に関する研究プロジェクトにも参画。病態解明や診断?治療法の研究に活用できる遺伝子改変マウスの作製にも尽力してきました。「このプロジェクトのメンバーに加えていただいたおかげで『Easi-CRISPR法』の有用性を示すとともに、研究を進展させることができました。チャンスをくださった先生方に感謝しています。受賞を励みに、より完成度の高い遺伝子改変マウス作製法の開発に努め、医学部はもちろんbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户の研究に貢献するとともに、遺伝子治療に関する研究にも取り組んでいきたいと思います」と意欲を語っています。