医学部付属八王子病院で10月14日に、大規模地震発生を想定した総合防災訓練を行いました。本病院は災害時に傷病者の受け入れや医療救護活動を行う東京都災害拠点病院に指定されており、定期的に防災訓練に取り組んでいます。今回は、多摩直下を震源とする震度6強の地震発生に伴い多数の傷病者が発生した状況を想定し、「火災対応訓練」と関連機関と連携した「緊急医療救護所連携訓練」を実施。本病院と委託業者の職員をはじめ、八王子市や同市の医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会、東京消防庁のスタッフら165名が参加しました。
火災対応訓練では院内での出火に対する消火活動や患者や職員の避難誘導、被害状況の確認?報告といった流れを確認しました。緊急医療救護所連携訓練では、防災センター前に対策本部を設置するとともに、病院入口付近に緊急医療救護所と傷病の重症程度を判断するトリアージエリアを設置。トリアージエリアで区分した「重症」「中等症」の模擬患者を院内の各処置エリアへ、「軽症」の模擬患者を処置テントに運んで診療に当たるとともに、本部と連絡を取り合いながら手術や入院、他の医療機関への搬送を調整する訓練に取り組みました。また、栄養科の職員は駐車場で炊き出し訓練も行いました。
模擬患者をストレッチャーで処置エリアに運ぶ役割を担当した診療技術部の職員は、「安全で速やかな運搬は、体で覚えるのが一番」と語り、模擬患者の運搬を繰り返していました。患者役を務めた職員は、「治療を受ける側の不安や孤独を体験できてよかった。救助する側になった際に役立てたい」とコメント。炊き出しを担当した栄養科の管理栄養士は、「想定より短時間で120名分を用意できました。さらに効率化を図りたい」と話していました。
中心になって訓練を企画?運営した本病院防火?防災対策検討会委員長の大塚洋幸救急センター長は、「より迅速?適切な救護活動を行うため、本部とトリアージエリア、救護所をモニターでつなぎ、互いの状況をリアルタイムで把握する方法も試みました。各セクションで動画も撮影したので、参加できなかった職員に共有するとともに一連の流れを振り返り、緊急時の対応強化を図りたい」とコメント。向井正哉病院長は、「災害拠点病院には、院内にいる患者さんや職員を守るとともに、搬送された負傷者の安全?安心を確保するという大きな役割があり、特に緊急の処置を要する方への対応が重要になります。今回の訓練をあらゆる角度から検証して改善につなげるとともに、災害医療に対する職員の意識をさらに高め、地域に貢献していきます」と話していました。