医学部医学科の佐藤教授らが市民公開講座「いつまでも『歩ける』未来のために~先進医療で実施する変形性ひざ関節症の再生医療~」を開催しました

医学部医学科外科学系整形外科学領域が11月11日に、市民公開講座「いつまでも『歩ける』未来のために~先進医療で実施する変形性ひざ関節症の再生医療~」を東京都内で開催しました。この講座は、佐藤正人教授が中心となって進めてきた、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户3年度再生医療等実用化研究事業「変形性膝関節症に対する自己細胞シート移植による先進医療の完遂」の終了に伴うアウトリーチとして開いたものです。オンラインも併用し、膝の痛みに悩む患者さんやその家族をはじめ、研究者、医療関係者ら多数が参加しました。

初めに、医学部付属病院の渡辺雅彦病院長があいさつ。AMEDの支援に対し謝辞を述べ、「患者さんの期待に応えられるよう本治療を全力でサポートし、よりよい医療の提供に貢献していきます」と語りました。続いて、AMED再生?細胞医療?遺伝子治療事業部再生医療研究開発課の今村千早氏が、「再生医療の実用化に向けたAMEDの役割について」をテーマに講演。「医療分野における研究成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けするのが私たちの使命」と語り、その目的を達成するための施策について説明しました。

佐藤教授は、「細胞シートの再生医療で変形性ひざ関節症を治す」と題して講演。厚生労働省から「先進医療B」の承認を受け、医学部付属病院で世界に先駆けて開始した自己細胞シート(患者自身の軟骨細胞を培養して作製したシート)による再生医療の概要を紹介しました。佐藤教授は、「質のよい硝子軟骨を再生できる、現段階では唯一の根本的な治療法」と特長を説明し、「骨の変形を矯正する高位脛骨骨切り術と併用して細胞シートを膝の傷んだ軟骨に移植します。これまでに先進医療では16名に行いましたが、先行する臨床研究では術後10年以上経過した患者さん8名の経過も良好で、長期間にわたる安全性、有効性とともに、日常生活動作やQOLの向上も確認されています。超高齢化社会を迎えつつある中、本治療を普及させるとともに、これまでに蓄積した研究成果とノウハウを生かして、より負担の少ない治療法の開発にも注力していきます」と語りました。

続く「患者インタビュー」では、自己細胞シートによる再生医療を受けた患者さん2名が、術前?術後や現在の状況を紹介。札幌市在住の患者さんは、「術後2カ月で仕事に復帰しました。今では正座やジャンプもできるようになり、生活に支障はありません。この医療がより多くの病院で受けられるようになってほしいと思います」とコメント。神戸市在住の患者さんは、「治療の適用になると知ったときはうれしくて、迷うことなくお願いしました。骨切り術後は痛みがあり、リハビリもそれなりの努力を要しましたが、今では中学生のころのように調子がよくて感激しています。この治療でたくさんの方が救われることを願っています」と話しました。2名の感想を受けて佐藤教授は、「これからも患者さんの声に真摯に耳を傾け、医療を進化させていきます」と語りました。

最後に、AMEDプログラムスーパーバイザーの小澤敬也氏が講評し、「自己細胞シートによる治療は、さまざまな開発が進む再生医療の中でも特に成果が上がっている治療法の一つです。細胞シートに関する研究のさらなる発展を期待しています」と閉会の言葉を述べました。

※軟骨再生医療の詳しい情報は下記のURL、QRコードからからご覧いただけます。

整形外科領域 軟骨班HP
 「bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户における軟骨再生医療」
 http://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/

市民公開講座「いつまでも『歩ける』未来のために」パンフレット電子ブック
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市民公開講座「いつまでも『歩ける』未来のために」オンデマンド配信
 (~2023.12.28まで)
 https://youtu.be/bIoeCJk1Rvk