医学部医学科の和佐野准教授が「日本耳科学会賞」を受賞しました

医学部医学科の和佐野浩一郎准教授(専門診療学系耳鼻咽喉科?頭頸部外科学領域)がこのほど、「加齢および遺伝子変化による進行性感音難聴に関する研究」で第6回日本耳科学会賞を受賞。群馬県で開催された「第33回日本耳科学会総会?学術講演会」期間中の11月3日に、授賞式と受賞講演が行われました。この賞は、顕著な研究?臨床業績を有し、将来、耳科学分野における指導者としての活躍が期待される医師?研究者に贈られています。

和佐野准教授は、数千万人が悩んでいるといわれる加齢性難聴について、聴力低下の原因や進み方、悪化を防ぐ方法などの研究に注力。約1万人の聴力検査の結果をデータベース化して年代別の平均聴力を割り出し、一人ひとりの聴力を平均と比較して“見える化”できるリオン株式会社の聴力測定システム「聞こえチェッカー」の開発にも貢献しました。また、遺伝性難聴の原因となる遺伝子変異の効率的な機能解析方法の開発に従事するなど、進行性の感音難聴の研究に尽力してきました。

「人間が生きる上で何よりも大切なのは人とのコミュニケーションであり、会話のキャッチボールです。“聞こえる”ことはそのためにとても重要です。研究者として医師として真に人々のために役立つ成果を見出すとともに、それを広く社会に還元するためのアプローチを積極的に進めてきました。今回の受賞は、“さらに頑張れ”という励ましだと受け止めています」と話します。

和佐野准教授は、慶應義塾大学医学部を卒業後、同大学病院助教、アメリカ?ノースウェスタン大学医学部への留学、独立行政法人国立病院機構東京医療センター聴覚?平衡覚研究部室長などを経て2022年4月に本学に着任。現在は医学部付属病院で、難聴、補聴器、人工内耳に関する専門外来での診療にも携わっています。「難聴は認知症のリスク要因になるとの研究結果も示されており、超高齢化が進む中で放置することはできない課題です。そのためには、聞こえにくさを我慢せずに医師に相談するよう促す努力や、社会構造の改革も必要だと考えています。今後も、人々の幸せやQOLの向上に貢献できる研究を続けるとともに、成果を社会実装させるための取り組みを進めていきます」と意欲を語っています。

※写真はすべて「第33回日本耳科学会総会?学術講演会運営事務局」提供