湘南キャンパスで10月30日、31日に、「日本生涯スポーツ学会第23回大会」が開催されました。日本生涯スポーツ学会は、生涯スポーツの総合的な学術研究成果の取りまとめと提示を行い、学究的深化を図ることなどを目的としており、本学体育学部スポーツ?レジャーマネジメント学科の萩裕美子教授が会長を務めています。今回は体育学部生涯スポーツ学科の野坂俊弥教授が実行委員長を務め、湘南キャンパスを主会場にオンラインも併用して「『かわる?つながる?ひろがる』生涯スポーツ5.0 へ」と題して実施。期間中は体育学部と大学院体育学研究科の教職員、大学院生、学生らが運営に携わりました。
30日には開会にあたり、男女柔道部部長の中西英敏教授(武道学科)による「古式の形」の演舞を収録映像で紹介。教え子である体育学部卒業生の松本勇治さん(神奈川県警)と組み、表と裏で組み立てられた21種類の形を披露しました。続いて、今夏に開かれた東京五輪で男子柔道日本代表の監督を務めた井上康生教授(同)が「競技スポーツから生涯スポーツへの懸け橋」と題して基調講演。夢や目標を持つ大切さ、データサイエンスを取り入れた練習方法の導入といった取り組みについて紹介したほか、「勝負の世界で“世の中は闘いの連続である”ということを学びましたが、一方で、何事も一人で解決できるわけではなく、家族や恩師、チームやライバルの存在が自分を成長させてくれたと感じています。この経験を生かして社会に貢献していくことが今後の自分の役割だと自覚しています」と話し、理事長を務めるNPO法人JUDOsにおける競技普及活動についても紹介しました。続くパネルディスカッションでは、陸上競技部監督の髙野進教授(競技スポーツ学科)と慶應義塾大学総合政策学部准教授の塩田琴美氏、井上教授が登壇。髙野教授は「日本人総(走)アスリート計画」のビジョンのもと、これまで実施してきた全国各地でのアスレティック?アカデミーや小中学校での出前授業の様子を紹介し、塩田氏は所長を務める一般社団法人こみゅスポ研究所における障がい者を対象としたスポーツイベントの概要を説明。それぞれの事業や指導方法などについて、「障がいを持つ人がランニングイベントに参加してもらうためにはどうすればいいでしょうか?」「地域の人と交流することでアスリートが得られるものとは?」「今後スポーツ界が発展していくためには、指導者が選手と同等の目線を持つことが大切」など、活発に意見を交わしました。同日夜には学会員の大学院生?学生によるイブニングセミナー「『迷ったら大学院へ!』~大学院生活の実態~」も行われ、本学からは大学院体育学研究科の福田昌平さんが参加して進学の経緯や現在の研究内容、大学院で研究するメリットなどを解説。31日には閉会式で本学チアリーディング部「FINE」による演技を映像で紹介しました。
また、両日ともに学会員によるポスター発表?口頭発表がオンライン上で行われ、生涯スポーツ学科の北原大和さん(4年次生)と千明詩菜さん(3年次生)が奨励賞を受賞しました。北原さんは「場面別身体活動と睡眠の質との関連:横断研究~スポーツライフ?データの二次解析~」をテーマに、研究事例が少ない64歳以下の成人を対象とした睡眠と身体活動の関連を分析した研究成果を発表。「ゼロからの研究だったので苦労もありましたが、その分新しい発見ばかりで研究の楽しさを知る機会になりました。統計データの解析や解釈の手法はどのような仕事でも役に立つと思うので、今回の経験を卒業後も社会で生かしたい」と語りました。千明さんは、「学校期の組織的スポーツ加入歴と現在の運動?スポーツ実施の関連~スポーツライフ?データの二次解析~」と題し、小学校から高校までの組織的スポーツ(部活動など)の加入と成人期のスポーツ実施の関連を分析しました。受賞について、「初めての研究活動だったので、評価していただきとてもうれしく思います。指導教員の松下宗洋先生(生涯スポーツ学科助教)にフォローしてもらいながら、自分が興味を持っている分野についてとことん調べることができました」と笑顔を見せました。北原さんと千明さんには後日、湘南キャンパスで野坂教授から賞状が授与されました。