体育学部では2月19日にオンラインで、研究セミナー「競技スポーツへのサイエンスの活用」を開催しました。FD研修の一環として、本学部に所属する教員による最先端の研究成果を共有しようと毎年実施しています。今年度は、競技スポーツ学科の丹治史弥助教(陸上競技部駅伝チームコーチ)と小山孟志准教授(男子バスケットボール部副部長)が講演しました。
丹治助教は、「箱根駅伝選手への低酸素環境トレーニング」をテーマに、駅伝チームの選手たちが行っている科学的トレーニングを紹介。スポーツ医科学研究所と長野県小諸市エリア高地トレーニング推進協議会が連携して実施した高地トレーニング実証実験の成果や、湘南キャンパス15号館に設置している低酸素テントを活用した強化メソッドについて、データを交えて説明し、「低酸素環境でのトレーニングによって、パフォーマンス中の消費エネルギーが減少し、運動効率が向上する結果が得られました。また、練習メニューを変えることで、最大酸素摂取量にも改善が見られています。これらの手法を用いることで、短期間でも競技能力を向上させることができました。今後はさまざまな競技に落とし込めるような高地トレーニングパッケージを構築していきたい」と語りました。
「負荷のモニタリングに関する研究と現場への応用」について講演した小山准教授は、男子バスケットボール部に所属する選手のけが予防とさらなる成長を目指した研究の成果を紹介。「プレー中の選手に付けたセンサーのデータを分析することで、急な減速や着地、相手選手とのコンタクト時にかかる負荷を測定できます」と語り、選手個々が試合や練習の中で受けた負荷を管理する手法について説明しました。また、「関東大学バスケットボール連盟協力のもと、1部リーグ所属チームを対象に実施したフィジカル測定のデータを分析するとプロ選手に必要な体力要素や基準値が見えてきました」と話し、「本学には、体育学部だけでなく、スポーツプロモーションセンターやスポーツ医科学研究所など、競技や分野を横断して共同で研究できる環境があります。情報収集が得意で熱心な学生や大学院生も多数在籍しており、彼らが専門家チームを組めば、よりよい研究成果を創出できると考えています。このプロセスが実現できれば、選手だけでなく研究に励む学生たちにとっても好材料になるでしょう」とまとめました。
講演後には内山秀一学部長が総評し、「科学的なエビデンスに基づく最新の研究成果は非常に興味深く、私も大変勉強になりました。こういった機会を通して、教員同士の理解をさらに深めていくとともに、選手や学生の成長につながる成果を創出していきましょう」と語りました。