経済学科に若野綾子講師が着任しました

政治経済学部経済学科に、今年度から若野綾子講師が着任しました。「応用計量経済学」が専門の若野講師は、「計量経済学」や「応用経済学A」の授業を担当しています。

大学時代は政治学科で学んだ若野講師は、卒業後はNPOに7年間勤務し、開発途上国の援助プロジェクトに取り組んできました。「日々の仕事に追われる中で、広い視野で見たときに自分の仕事は社会に貢献できているか、と考えるようになりました。担当する国の経済状況について勉強していたこともあり、しっかり経済学を学ぼうとNPOを辞めて大阪大学大学院に入学しました」と振り返ります。博士課程修了後は日本学術振興会のポストドクターフェローとして、慶應義塾大学で研究に励んできました。

専門は、家計や企業、学校など個人を単位とする個票データを扱い、個票データ分析で陥りやすい誤りを学び、個票データを使用して経済学的に意味のある仮説を検証する「応用計量経済学」です。「私はこれまで開発経済学の分野でカンボジアとケニアの個票データを使用しました。仮説は、いずれも7年間の開発援助の実務を通して疑問に思っていたことを経済学の分析枠組みで検証しました。一つ目は、ケニアの公立小学校の子どもの学力と小学校教員の雇用形態です。開発途上国では多くの小学校で教員が不足しているため、非正規の契約雇用教員が働いています。彼らは、正規雇用教員よりも安価で雇用されることが一般的ですが、パフォーマンスは正規雇用教員をしのぐという実証分析結果があります。同様の観点からケニアの公立小学校のデータを使用して分析したところ、開発途上国での教育予算の大半を占める教員給料がパフォーマンスに影響を与えない政策的示唆に富む研究結果となりました。またカンボジアでは、農村世帯を調査してその地域で行われた援助プログラム実施者の利他性を測り、“利他的な人”と“利他的ではない人”が援助プログラムを実施する場合に、援助プログラムの成功に関係はあるかを調べました」と解説しました。

学生や受験生に向けては、「本学科では多くの先生が卒業論文でデータ解析を重視していることから、低学年次から専門の統計ソフトを使って統計手法を学ぶことができます。IT技術が進歩した現代では、卒業後に即戦力として働けるデータサイエンティストの需要が高まっています。経済データを使った分析に興味がある人は、ぜひ研究室を訪ねてください」と話しています。

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