政治経済学部経営学科のアルマズヤッド?オスマン講師が7月4日に、サウジアラビアのキング?アブドゥルアジーズ大学(KAU)で行われたオンライン講演会で講師を務めました。KAUと本学は2010年度に教育研究に関する大学間協定を締結し、ソーラー無人飛行機の共同研究を進めるなど教員や学生の交流を図ってきました。今回は、オスマン講師の研究や論文に興味を持ったKAU科学基金(Scientific Endowment)の関係者から学術交流の一環としてとして講師の依頼があり、教職員ら約100名が参加しました。
オスマン講師は「日本のサスティナビリティ?モデルに学ぶ。―日本の老舗企業を事例として―」をテーマに講演。江戸時代の時代背景や明治維新が起きた社会的背景のほか、茶道や剣道、柔道といった日本の文化形成について語り、サスティナビリティの最新の研究成果も紹介。日本には老舗企業が多い理由についても触れ、「例えば1000年以上続いている企業は7社あり、500年が32社、200年が3146社、100年続いている企業は1万社と世界のどこよりも圧倒的に多い。文化を大切にし、伝統と革新を融合するのが日本の企業です」と話します。日本のいくつかの企業を紹介し、「任天堂株式会社は主流である商品を花札からテレビゲームに変えながらも、ゲームの会社であることは変えていません。時代背景や周囲の状況に合わせて形を変え、継続していくのが日本の企業だと考えます」と語りました。
参加者からは、「久々に興味深く、面白い講演を聞くことができました」といった声が多く聞かれ、オスマン講師は、「ファミリービジネスが主流で、血縁を大事にするサウジアラビアの人々にとって、“イエ”を大切にし、後継ぎとなる息子がいなければ婿養子を迎える日本の考え方には驚きの声も上がりました。事業を次々に拡大していく海外の拡大成長型企業に対し、日本は「持続型経営」すなわち、身の丈経営と呼ばれる身の丈にあった経営を心がける点も長く地域と共に繁栄し続けるポイントの一つだと思います。海外の多くの人にとって、日本イコールアニメやテクノロジーというイメージはあっても、そこに素晴らしい伝統と革新、そして地域に根ざし、独自性の高い存続するための「経営システム」があることはまだまだ知られていません。日本型経営の哲学のよさをさらに広く伝えていきたい」と話しています。