政治経済学部経済学科の大熊一寛教授のゼミナールでは、8月22日に小田原市の湘南電力株式会社を訪問し、地域再生可能エネルギー関係事業の現地調査を行いました。エネルギーの地産地消を進める地域電力会社の事業や、自治体と企業の協働で進めている先進的プロジェクトについて学び、ゼミでの研究に生かしていくことが目的です。
初めに湘南電力統括部長の山崎剛一氏から同社の事業の概要について説明を受けました。山崎氏は、「東日本大震災をきっかけに地元企業が力を合わせて太陽光発電事業を開始し、電力供給を行う地域電力会社も設立されました。神奈川県では年間約3000億円の電気料金が支払われ、そのほとんどが県外に流出しています。地域内でエネルギーとお金を循環させることで、持続可能な地域づくりにつなげようとしています」と話しました。
湘南電力では県や市、地域内外の企業と協働して、住宅の太陽光発電を進める「かながわ0円ソーラー」や蓄電も目指す「EVカーシェアリング」、災害時も電力供給を可能にする「地域マイクログリッド」などの先進的なプロジェクトが進められています。学生たちは、地域マイクログリッドについて、太陽光発電、大型蓄電池、地域系統線などを組み合わせたシステムを現場で見学するとともに、EVカーシェアリングの利用も体験しました。
その後は同社の若手社員も参加して質疑や意見交換を行いました。電力需給がひっ迫する中で市場からの電力調達が難しくなっていることや、再生可能エネルギーが特に不足しているといった課題とともに、環境?エネルギー?電力分野の起業にかかわって働くことへの熱い思いも聞きました。学生からは、再エネと火力の関係の現状や、神奈川地域での再エネの可能性、業務の内容や大学の学びとの関係などについて多くの質問が上がり、会議終了後も社員に熱心に話しかけるなど、地域の再エネ事業を中心にさまざまな学びを得ていました。