「海上自衛隊幹部の養成と国際交流」をテーマに講演会を行いました

政治経済学部政治学科では6月5日に湘南校舎で、自衛隊神奈川地方協力本部長の大谷三穂氏(1等海佐)による特別講義「海上自衛隊幹部の養成と国際交流」を行いました。2022年度から開講している「グローバル?ガバナンス論」の一環で実施したものです。本講義では、政府や国際機関、NGO、企業、専門家などのゲストスピーカーをお招きし、それぞれの立場で地球規模の課題に挑んできた実態について講演していただいております。地域や国境を越えて多様な問題を解決する政治的相互作用について、理論と実態の両面から理解を深めることを目指しています。

大谷氏は、防衛大女子第1期生として自衛隊に入隊し、練習艦「かしま」艦長、統合幕僚学校教官、イージス艦「みょうこう」艦長(女性初)などを歴任し、自衛隊活動の最前線で活躍されたご経験をお持ちでおられます。

大谷氏は、防衛省?自衛隊の活動や国際情勢を多面的に紹介している『防衛白書』を基調に海洋安全保障について説明してくれました。日本は海洋国家であり、海の安全保障が非常に重要な課題であること、四方を海に囲まれた日本をわずか43,000人の海上自衛官(東京ドーム収容人数46,000人より少ない)で守っていることを話してくださいました。

さらにアメリカ、ブラジル、オーストラリアなどの港に寄港し、各国の軍隊と自衛隊の国際交流を行っている様子も、ビデオの映像とともにご紹介してくださいました。大谷氏は、各国における日本や日本人に対する評価が高く、自衛隊員を温かく迎えてくれたことが嬉しかったそうです。人と人とが国境を越えて触れ合うことの意義を改めて感じたとおっしゃっておられました。 女性初となる肩書をいくつもお持ちの大谷氏ですが、防衛省による女性自衛官の配置制限という規則に泣かされたこともあったそうです。でも防衛省の規則にくじけることなく、護衛艦の艦長になる日のために、懸命に訓練に取り組み、能力の向上に励んだとのことでした。そんな大谷氏だからこそ、女性の参入を阻む重い扉を開けることができたのではないかと思わずにいられませんでした。