政治経済学部では7月20日に、独立行政法人国際協力機構(JICA)の島田具子さんを講師に招き、公開講座「国際協力という仕事」を開催しました。本学部生対象の「現代文明論2」の授業の一環として開催したものですが、受講生以外の参加も自由としたことで、教職員のほか教養学部などからの参加者もありました。
島田さんはまず、世界の人口の8割以上が開発途上国で暮らしていることや開発途上国と日本は互いに相互依存関係にあり、途上国の問題は日本を含め世界の問題であることなどについて言及。「一方で日本は、戦後復興や東日本大震災からの復興にあたって世界各国から援助を受けてきた『被援助国』でもある」と説明しました。
その上で、島田さんの所属するJICAでは、政府開発援助(ODA)という枠組みで多様な事業内容(資金援助、研修員の受け入れや技術協力、ボランティア派遣など)に取り組んでいると紹介。フィリピン?ミンダナオ島での平和構築支援に携わっている島田さんは、フィリピン政府と長く対立し分離独立を目指して活動していたムスリム勢力との間の和平合意に基づき、コミュニティ支援や経済活動の促進まで含めた多角的な支援プログラムを、さまざまな関係者と協力しながら進めている状況について説明しました。また、島田さんが以前2年間駐在したルワンダで、現地事務所の立ち上げに奔走した様子や、女子高生と一緒に音楽会を開催したというエピソードについても紹介。それらの経験をもとに、「紛争に遭った住民の方たちが、傷ついた経験や感情を表現できる機会を設けることが、とても重要です」と語りました。
質疑応答では、「最近バングラデシュでテロ事件があったが、JICAの活動は途上国ではどのように捉えられているのか、またこれからJICAはどのように活動していくべきか」、「ミンダナオ島での経済活動の促進とは具体的にどのような事業なのか」、といった質問がありました。参加者からは、「島田さんが大学時代から旧ユーゴスラビアにボランティアに行ったと聞き、自分も将来に向けて積極的に行動しなければいけないと思った」、「開発援助の仕事でも組織と組織だけでなく、個人と個人のつながり、信頼が大事だと感じた」といった感想が寄せられました。