政治経済学部経済学科の小﨑敏男教授が、9月26日に秋田市で開催されたシンポジウム「高質な田舎で豊かに働く~人口減少最先端『秋田』からの提言~」(主催:国際教養大学アジア地域研究連携機構?秋田経済研究所?北海道東北地域経済総合研究所)でパネリストを務めました。このシンポは、秋田県をモデルケースとして人口減少社会における働き方を考える機会とすることが目的。北海道東北地域経済総合研究所などが中心となって今年4月から研究会を開いており、小﨑教授は労働経済学の専門家として参加してきました。シンポはその締めくくりとして企画されたもので、県内の行政や企業の関係者、市民ら約120名が参加しました。
シンポでは、小﨑教授をはじめ研究者5名が女性や高齢者、外国人が働きやすい職場づくりなどについて発表。小﨑教授は、「秋田の人口減少と労働政策」と題してプレゼンテーションし、秋田県における人口減少のメカニズムや県民の従業状況、収入分布について統計データをもとに紹介。50代と60代が全人口の3割を占めており、職業を持つ有業者率が低い傾向にあるといった特徴を説明し、高齢者や女性に職を提供し、若者の流入をのぞめる航空関連や自動車、新エネルギー関連の企業を誘致するとともに、新設事業所の設立を促す県独自の政策が必要であると提言しました。その上で、「全国でも最も高齢化が進んでいるのが秋田県。高齢者の就業訓練を充実させる秋田モデルをつくり、生涯現役で働ける環境が必要だ」と語りました。
小﨑教授は、「企業誘致が成功している地域を見ると、どこも行政があきらめずに活動を続けている市町村ばかりです。地方では国などからの補助金に頼る自治体も増えていますが、補助金頼みの企業は賃金が低い傾向にあり、地域の活性化にはつながりません。企業の側も業種と地域の特徴や管理職の出身地などで何らかの形でつながりのある地域を好むことを踏まえつつ、行政の担当者はその掘り起こしを粘り強く続けていく必要があるとも考えています。これまでの歴史を振り返ると、20年前に県や市町村が実施した政策の結果が各地域の盛衰に大きな影響を与えています。今後は各自治体が主体的に現状分析や特徴の洗い出しを行い、危機意識をもって地域の活性化に取り組んでほしい」と語っています。