政治経済学部政治学科に今年度から、辻中豊教授が着任しました。辻中教授は政治学、公共政策学、比較市民社会、ローカル?ガバナンスが専門で、中でも市民社会構造や利益集団(利益団体?圧力団体)にスポットを当て、さまざまな調査?研究を実施しています。
1981年に北九州大学法学部政治学科で講師となり、86年からは筑波大学社会科学系政治学専攻に着任。コーネル大学客員研究員を経て、筑波大学で30年間あまり教鞭をとる傍ら、日本公共政策学会理事や日本政治学会理事長を歴任しました。また、世界15カ国で市民団体の実態調査も実施。「政治学というと選挙や政党、国会などに目がいきがちで、そういった研究は多くなされていますが、市民と政府の間にある市民団体や利益集団の研究は進んでいませんでした。そこで日本では、10年ほど前に、電話帳に掲載された社会団体、組合など9万件以上とNPO法人全数に、どのような団体なのか、政府との関係や今の政府に満足しているか、何に関心があるのかなどをアンケート調査し、3万件以上の自治会?町内会にも同様の調査を行いました。調査結果は著書数冊にまとめています」と振り返ります。「なぜ日本の選挙では自民党が強いのか、東日本大震災のような大災害が起きても協力して復興に向けて取り組んでいけたのか、というのは海外から見るとある意味で異様であり特殊なことだと言われます。それらは、市民組織と政府との関係がプラスに働いているからであり、日本政治の基盤が市民レベルにあるからだと、調査を通じて知ることができました。学生たちには“身近にある政治学”に目を向け、学びを深めてほしい」と語りました。