大学院総合理工学研究科(博士課程)2年次生の今田一希さん(指導教員=理学部数学科?山本義郎教授)が、6月15、16日に実践女子大学で開かれた「日本分類学会第38回大会」で「優秀学生発表賞」を受賞しました。同学会では昨年度から、データ分析に関する研究者?専門家を志す学生会員の奨励を目的とした賞が設けられています。今田さんは15日の学生発表セッションにおいて、「一般化加法モデルを用いたストライクゾーンの歪みの違いによるピッチャーとキャッチャーの分類」と題した研究を発表し、選出されました。
大学入学以来、野球に関するデータを分析する研究を進めてきた今田さん。今回は、野球の試合における「ストライク」と「ボール」の判定に着目しました。「アメリカのメジャーリーグでは、年間約145万球の「ストライク」と「ボール」の判定が行われた投球の内、約3万球の判定が誤っていることが明らかになっています。しかし詳細な分析によりその誤審は捕手ごとに特徴があることがわかり、ストライクゾーンぎりぎりの球をストライクの判定に持ち込む技術なのではないかとされ、それは『フレーミング』という新たな捕手の評価となっています」と解説。メジャーリーグが全球場に導入している弾道測定機器「トラックマン」による測定データを使い、統計モデルを使って捕手別に『フレーミング』の分析をして比較検証や特徴の分類を行い、その活用方法について提案しました。
今田さんは優秀学生発表賞の受賞について、「こうした賞をいただけると思わなかったので驚きましたが、評価していただけてとてもうれしい。日本球界ではデータの収集?分析が世界基準に追いついていない現状がありますが、選手の活躍を助け、未来の野球選手を育てるためにも、データの分析は大きな役割を果たすと考えられます。学会での研究発表は、自分のような研究者がいるということを世界に発信する機会だと考えているので、収集?分析したデータをさまざまな場所で活用してもらえるきっかけになればと思います。」と語りました。