理学部では6月6日に湘南キャンパスで、1993年度物理学科卒業生で「日本Androidの会」理事長の嶋是一氏(1993年度物理学科卒、KDDIテ クノロジー開発四部部長)を講師に招き、講演会を開催しました。この講演会は教員間の研究交流を促進し、学部の活性化につなげることなどを目的に実施して いるものです。今回は情報数理学科の初年次導入科目「フレッシャーズ?ゼミナールA」の授業もかねて行われおり、学生や教職員約110名が参加しました。
嶋さんは「Android 多様性から生まれるアタラシイセカイ~来たるべくして訪れたスマートフォン時代を読む~」と題して講演。電機メーカーに就職直後から一貫して携帯電話の開 発に携わり、2008年には日本ではじめてAndroidの教科書として『Google Android入門―携帯電話開発の新技術』をまとめるなど、これまでの活動に触れながら、携帯電話技術のこれまでの発展と今後の展望について語りまし た。携帯電話端末を使ったインターネットの世界では、1990年代から10年ごとに革新的な技術が導入されてきたことに触れ、今後は身体に装着して使える 端末の開発が進むことが予想されると説明。2010年にスマートフォンが急激に普及した背景には、携帯電話の心臓部にあたるCPUの性能と通信速度がパソ コンと遜色ないレベルまで向上したことにあったことを紹介しつつ、現在はWeb上で自由にアプリケーションを動かせる技術を基礎としてさまざまな可能性が 模索されていると語りました。
その上で、革新的な技術を生み出すためには、多くの人が特定の目的に向かって議論を重ねながら改良を続けることが大切であると説明。「多くの人と協力しつ つ世の中に役立つ技術を生み出すためには、手元に入ってきた情報を自分なりに理解して、付加価値を付けられる人材が求められます。皆さんも自ら学び、考え 続けることを忘れないでください」と語りかけました。
参加した学生は、「これまでスマートフォンを便利な道具としてしかとらえていませんでしたが、技術者の立場からスマートフォンの今後の可能性を考えつつ、Android技術について勉強し直してみようと思いました」と感想を話していました。