総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程3年次生の田村紗也佳さんがこのほど、「アップコンバージョン蛍光体の設計指針の確立と高輝度材料の開発」の研究で日本学術振興会の「平成30年度特別研究員(DC2?化学)」に採択されました。特別研究員制度は、若手研究者に、自由な発想で主体的に課題を選びながら研究に専念する機会を与え、優れた研究者の養成?確保を図る制度です。今年度の「DC2?化学」には92名が採択されています。2年間の採用期間は研究奨励金が給付されます。
田村さんは本学の理学部化学科を卒業後、大学院理学研究科を修了し、現在まで化学科の冨田恒之准教授の研究室でアップコンバージョン蛍光体の研究を進めてきました。本研究は昨年度、北海道大学、東北大学、東京工業大学、大阪大学、九州大学の5大学による「物質?デバイス領域共同研究拠点」が全国の大学院生を対象に募集している「次世代若手共同研究課題」に採択されており、5大学の施設を用いたり、各大学の研究者らの協力を得たりした研究活動にも取り組んでいます。指導にあたる冨田准教授は、「田村さんは昨年度の特別研究員募集には不採択となりましたが、不採択となった研究者の中で上位20%に入る高評価を得ていたので、『次世代若手共同研究課題』など新たな経験を積んで成長したことが今回の採択につながったのだと思います」と語ります。田村さんは、「採択者が発表されたとき、とてもうれしくて真っ先に冨田先生のところへ報告に行きました。研究費が給付される分、新しい研究方法にどんどん挑戦していきたいと考えています。アップコンバージョン蛍光体はすでにいくつかの種類が発見されているのですが、新しいものを探すことを目的とした研究や調査はあまり行われていないので、これまでに発見されているものよりも、明るく光る材料をつくり出す設計指針を見つけることが目標です」と展望を語っています。