理学部情報数理学科の桑田孝泰教授が10月31日に、カンボジアの首都プノンペンで行われた「数学検定実施10周年式典」で記念講演を行いました。日本数学検定協会では2009年から年に一度プノンペンで数学検定を実施しており、今年が10周年という節目を迎えたことから記念講演を実施。桑田教授は07年度から15年度まで、開発途上国における数学研究の発展のために活動するフランスのNPO法人CIMPAを通してプノンペン大学の大学院修士課程でも教鞭をとっていたつながりから、今回の記念講演を担当しました。
桑田教授は式典の前に、現地の小学生と中高生とその保護者約100名を前に、今年度の検定で実際に出題された問題の中から例題として1問抜粋し、「検定問題の質の良さ」をテーマに講演。1から9までの整数をランダムに3つ選び、その中でできる最大値の3桁から最小値の3桁を引く計算を繰り返していくと、最終的に495になるという問題を、オリジナルの教材を用いて解説しました。桑田教授は、「視覚を通じて学ぶ授業は子どもたちの興味をひくので、数学の面白さに触れながら話しを聞いてくれたのではと思います。数学に関連するコンテストは各国で数多く行われていますが、数学検定のように自らの数学の能力を測定する試験でこれだけの規模のものはほかにありません。賞レースのために勉強するのではなく、数学の面白さを理解して自ら進んで学んでもらえるよう、これからもこうした機会に協力させてもらいたい」と話しています。
▼実用数学技能検定(数学検定?算数検定)
「実用数学技能検定(数学検定?算数検定)」(後援=文部科学省)は、公益財団法人日本数学検定協会が実施している記述式の検定で、17年度の志願者数は約37万7000名でした。日本国内はもちろん、フィリピンやカンボジア、インドネシア、タイなどでも実施され(累計志願者数は3万名以上)、海外でも高い評価を得ています。