理学部情報数理学科の藤ノ木健介准教授が執筆した論文「リフティングスキームによるウェーブレットの構成法」が、2019年度日本応用数理学会論文賞(サーベイ部門)を受賞しました。日本応用数理学会論文賞は、日本応用数理学会論文誌とJapan Journal of Industrial and Applied Mathematics、JSIAM Lettersに掲載された論文のうち、特に優秀なものが選ばれ、その著者に贈られます。授賞式は9月4日に東京大学駒場キャンパスで開催された日本応用数理学会2019年度年会にて執り行われ、賞状が授与されました。
本論文は、データ解析などに広く用いられるウェーブレットを構成するためのリフティングスキームについて、その数学的性質を明らかにしながら、非線形データ処理への応用例までを含めた理論と応用の全体像をまとめたものです。藤ノ木准教授は、「数学は諸科学の共通言語であり、複雑な対象を抽象化できる普遍的な枠組みを与えます。近年の諸科学?産業界が抱えるさまざまな問題の複雑化に伴い、社会からの数学への期待がよりいっそう高まっているといえます。今回の受賞を励みに、世の中に役立つ数学のさらなる探求と、実社会の中で数学?数理科学が果たすことのできる役割について引き続き研究していきたいです」と語っています。
▼受賞論文「藤ノ木 健介, リフティングスキームによるウェーブレットの構成法, 日本応用数理学会論文誌Vol. 28, No. 2 (2018), 72-133」