大学院総合理工学研究科(博士課程)2年次生の今田一希さん(指導教員=理学部数学科?山本義郎教授、理学部情報数理学科卒業)が、日本統計学会スポーツ統計分科会主催の「第9回スポーツデータ解析コンペティション」の口頭発表で、野球部門の優秀賞を受賞しました。このコンペは、「野球」「サッカー」「バスケットボール」「フェンシング」の4競技に関するさまざまな統計データを用いた研究を通じて、当該スポーツ界の発展と統計科学のさらなる発展にスポーツを通して寄与することを目的に毎年開催されています。12月の審査会を経て各部門の受賞者が決まっており、3月19日に表彰式が開かれる予定でしたが、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户感染拡大の影響を受けて中止となりました。
今田さんは、「カーネル密度とGLMMを用いた守備評価モデルの提案」と題した研究で優秀賞に選出されました。本研究は、現場取材経験が5年以上の各新聞社?通信社?テレビ局?ラジオ局のプロ野球担当記者の投票によって、卓越した守備によりチームに貢献した選手が選出されるプロ野球の「ゴールデン?グラブ賞」の評価基準に着目。既存の評価基準の問題点や不明瞭な点を指摘し、それらを改善する評価方法を提案するものです。今田さんは昨年度、ストライクゾーンに入った投球の座標を可視化することで、投球されたボールをストライク判定にする捕手のキャッチングスキル「フレーミング」の評価方法を応用した他のプレーについての考察?評価方法を考案し、日本分類学会第38回大会で優秀学生発表賞を受賞しています。今回はその評価方法を応用し、データスタジアム株式会社から提供された2016年度から18年度までのプロ野球公式戦のデータをもとに、打球の落下地点や守備位置の座標を可視化。従来の評価基準の一つである守備機会は、選手の打力やチームの戦力事情など選手の守備能力に関係ない要因によって変動するため公平ではないと考え、平均的な選手よりアウトにつなげた守備の回数を基準にするなど、新たな評価方法を提案しました。
今田さんは、「表彰式は中止となってしまいましたが、12月の審査会では、コンペとしては大学4年次生以来の口頭発表の機会をいただけたので、多くの方に研究成果を紹介することができました。守備位置の座標を可視化する方法は、データスタジアムがプロ野球選手の情報を発信する素材にもなりますし、部活動などで守備シフトを分析する際にも使えます。さまざまな場面で活用してもらえたらうれしい」と話します。