大学院文学研究科文明研究専攻博士課程後期の二重作昌満さんの研究「特撮ツーリズム現象の歴史と変遷」が、平成29年度の日本レジャー?レクリエーション学会研究奨励賞を受賞し、12月8日から10日まで沖縄県で開催された第47回学会大会で表彰式に出席しました。同学会は、レジャー?レクリエーションに関するあらゆる分野を科学的に研究し、業界の発展と研究実践への寄与を目的としている学術研究団体です。今大会は「次世代ヘルスケアとレジャー?レクリエーション」をテーマに、国家戦略とレジャー?レクリエーションの新たな可能性を議論する場として開催されました。
観光学部で学んだ二重作さんは、「日本の知的財産であるアニメや漫画などのコンテンツを“聖地巡礼”と謳って観光資源に利用している地域は数多くあり、地域の活性化への影響を研究している研究者はいますが、『ウルトラマン』や『ゴジラ』といった特撮(特殊撮影の略称)の映画を、観光の視点で研究している人はいませんでした」と、研究を始めたきっかけを語ります。本研究では、映像という知的財産を用いるコンテンツツーリズムの一環として『特撮ツーリズム』の歴史を調査。日本初の特撮映画『ゴジラ』が公開された1954年11月3日から2016年12月31日までの約62年の間に開催された、特撮映像作品を活用したイベントや商業施設などの観光現象を対象とし、デパートの屋上や遊園地で開かれるヒーローショー、駅がコラボレーションしたスタンプラリーなどの変遷をまとめました。「たとえば、『ウルトラマン』を制作した円谷プロダクションの旧社屋がある東京都世田谷区の小田急線?祖師ヶ谷大蔵駅には“ウルトラマン商店街”をつくってまちおこしをして、子どものころ『ウルトラマン』を見ていた世代の人が訪れたり今の子どもたちがウルトラマンに親しんだりと、立派な観光資源になっています。特撮作品は世代をこえる長寿コンテンツとして、50年以上続く日本の文化です」と二重作さん。研究奨励賞の受賞について、「学部時代から田中伸彦先生(観光学部教授)に指導していただいて続けてきた研究なので、賞をいただくことができてとてもうれしい。特撮は子どもだけでなく、観光を通じて、様々な世代に発信されている立派な産業の一つです。受賞して終わりではなく、今後も学会での発表を通じて研究を周知し、コンテンツツーリズムの研究で先駆的な役割を担いたい」と意気込んでいます。