健康科学部では7月26日に、「スリランカ?プロジェクト ハーフ?デー セミナー」を伊勢原キャンパスで開催しました。これは2013年度にスリランカにおけるソーシャルワーク教育のパイオニアであるスリランカ社会サービス省 国立社会開発研究所(NISD)と本学部が締結した覚書「Memorandum of Understanding (MOU) 」に基づいて実施した調査結果を報告したものです。当日はNISDと本学の健康科学部教員や大学院生、約20名が聴講しました。
この共同研究は2011年に日本で開催された「第21回アジア太平洋ソーシャルワーク会議」で、本学部社会福祉学科がアジア?アフリカ諸国からの渡航?滞 在費等支援を目的としたFoster School Programの受け入れ校に応募し、NISDの研究者を伊勢原キャンパスに招いて特別講義を実施したことがきっかけとなり開始したものです。研究期間は 2013年4月から2015年3月までの2年間。「若者成人の親扶養意識と高齢社会に対する関心度に影響する社会心理的要因の検討」をテーマに、「老親に 対する扶養意識」や「高齢者問題への関心度」など、26項目にわたって若者の意識調査を実施し、比較研究することが目的です。日本では本学の学生(伊勢原 キャンパスと湘南キャンパス)および、関東圏3県の国?私立大学4校に協力を依頼し、1064名分の回答を集計しました。
当日のオープニングセレモニーでは、沓澤智子学部長が「このセミナーをきっかけとして、東海大とNISDの共同研究がさらに発展していくことを期待してい ます」とあいさつ。NISDのペリス副所長は、「共同研究を通じて両校の教員がすばらしい友情を築けたことをうれしく思います」と述べました。続いて社会 福祉学科の宮永耕准教授がMOU締結の経緯について説明し、これまでの交流の成果を報告しました。
成果発表ではまず、NISDのジャヤルバン講師がスリランカでの調査結果について同国の社会状況を説明しながら報告。「スリランカでは農業従事者の比率が 高いために大家族が多く、若者の親への扶養意識はかなり高い」としながらも、家族人数が減少傾向にあり、「扶養への意識の変化と高齢者ケアのあり方が今後 の課題になる」と語りました。一方、日本側からは社会福祉学科の谷口幸一教授が登壇。高齢者問題に関心がある若者が8割をこえる中、高齢者に対して否定的 差別的な態度と、肯定的な態度の両面があることを報告。「今後は親や祖父母世代についても調査し、世代間の一致点や相違点も明らかにしていくことが重要」 と指摘しました。最後にNISDのペリス副所長が、「スリランカ国の保健福祉の現状と今後の課題」と題して講演しました。
今後について、両機関の学術研究交流や教育交流の更なる推進を図りたいとの意向で一致。また、両国の調査結果を比較検討?考察し、最終的な報告書作成ならびに論文化の作業にも取り組む予定です。