健康科学部では8月6日に伊勢原キャンパスで、研究倫理をテーマとした講演会と大学院FD研究会を開催しました。これは、文部科学省と厚生労働省が制定した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が今年4月1日に施行されたことに伴い、教員や大学院生が研究を行う上で重要な倫理的事項についての理解を深めるとともに、大学院生に対する研究倫理の指導方法について検討するために実施したものです。
本学部倫理委員会が主催した講演会では、外部委員で東京大学医科学研究所公共政策研究分野の高島響子特任研究員が、「人を対象とする研究における倫理的配慮―国の研究倫理指針と、研究計画から実践へ―」をテーマに講演し、教員や大学院生ら約30名が聴講しました。高島研究員は、同指針が「疫学研究に関する倫理指針」と「臨床研究に関する倫理指針」の統合指針であることを説明。研究対象者に生じる負担やリスクに応じたインフォームド?コンセントの手法や、未成年者などを研究対象とした場合のインフォームド?アセントの規定などの改正ポイントのほか、研究機関の長、研究責任者、研究者のそれぞれの責任について解説しました。
続いて大学院FD委員会が、初めて研究倫理をテーマに取り上げた研修会を実施。「研究指導力向上を考える―研究倫理に関わる指導について―」と題してグループワークを行い、大学院健康科学研究科に所属する教員ら25名が参加しました。参加者は提示された研究倫理に関する話題について、高島研究員の講演を踏まえて、指導上の問題点と解決策をグループで討議。結果発表では、「研究倫理に関する相談窓口を設ける」「大学院生向けの研究倫理に関する研修を強化する」「研究倫理を授業の1コマに加える」「修士論文の手引きを改定し、研究倫理について盛り込む」など、具体的な意見が出されました。
本学部長の沓澤智子教授は、「保健医療と福祉に関する研究の遂行には人間と生命の尊厳に対する配慮が不可欠。研究倫理を正しく理解してそれを研究に反映させることは、研究者の重要な使命の一つです」と本講演会と研修会の意義を説明。「講演会、研修会ともに非常に有意義な内容でした。研究倫理について正しい知識を持ち、自身の研究や大学院生、学生の指導に生かしてほしいと思います」と語っています。