大学院生の2グループが「歴史的空間再編コンペティション」で入賞しました

大学院工学研究科建築土木工学専攻の学生2グループが11月18、19日に、金沢学生のまち市民交流館で開催された「歴史的空間再編コンペティション」で入賞しました。全国の歴史的空間を再編する設計作品が対象の同コンペには、全国から約200作品の応募がありました。両グループとも2次審査まで進み、上位10作品によるファイナルプレゼンテーション進出はなりませんでしたが、11位と18位に入賞しました。

建築都市学部建築学科の野口直人講師の研究室に所属する後藤龍之介さん(2年次生)と佐々木優さん(1年次生)は、「百段階段を崩す?横浜の記憶とまちを紡ぐブラフの新たな階段劇場?」で11位となりました。1859年の横浜港開港時に現在の関内?山下町に外国人居留地ができ、立ち退き命令によって強制移住させられた住民たちが元町に作った百段階段を現代に生まれ変わらせる作品です。当時の階段の上には浅間神社があり、もともと住んでいた村を眺められる場所でもあったと言います。学生たちは、「昔そこにあったものの魅力をアップデートして建築に生かしたいと考えました。小さな段差から徐々に幅を広くして変化を与え、登るための階段から新しい居場所になるような設計にしました」と話します。中央の階段は結婚式場とし、両側にはジュエリーや洋服、花などの店舗を設けるとともに、空間全体をホールとして活用する提案もしました。「百段階段が関東大震災で壊れ、後に少し離れたところに電車の駅ができて、人の流れが変わってしまいました。以前、この土地が女性ファッションの発信地だったように、憧れられる場所にしたい」と狙いを語りました。

岩﨑克也教授(建築都市学部長)の研究室に所属する本専攻1年次生の田村哲也さん、矢﨑健太さん、中野太耀さんは「点、線、面。~景勝地“八景”とサイクルロードによる地域拠点の創出」と題した作品で18位となりました。神奈川県横浜市金沢区にある約13kmのウオーキングルートの一部を変更してサイクリングロードとし、歌川広重が描いた「金沢八景」を眺める場所に自転車を置くサイクルポートを建設する案です。学生たちは、「広重の描いた金沢八景は、埋め立てや建物の建設で景色が大きく変わっているので、その場所を見つける作業から始めました」と振り返ります。サイクルポートは山の連なりや海の波をイメージした折屋根とし、屋根の角度を工夫したり、穴の開いた壁を設置したりしてビルや家などが入り込まないように金沢景色に目が向く工夫を凝らしました。「8カ所を分担して設計し、互いに厳しく意見し合って作り上げたので、グループ設計の醍醐味を感じました。金沢区には大学があり、観光客も多く、自然も豊かで歴史もあるという場のポテンシャルを生かし、日常使いしてもらうことで、点を線でつないで面を作り上げることができました」と話していました。なお、3名の作品は7月21日に結果が発表された「2023年度支部共通事業 日本建築学会設計競技」の関東支部入選作品にも選ばれています。