大学院医学研究科医科学専攻の遠藤冴星さん(理学部物理学科卒)が日本医学物理学会学術大会で「大会長賞 銅賞」を受賞しました

大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)2年次生の遠藤冴星さん(理学部物理学科卒)が、4月13日から16日までパシフィコ横浜で開催された第125回日本医学物理学会学術大会で、「電子飛跡検出型コンプトンカメラを用いた放射性薬剤(Tc-95)による生体撮像」をテーマに研究成果を発表。「大会長賞 銅賞」を受賞しました。

遠藤さんは、医学部医学科の株木重人講師(専門診療学系放射線治療科学領域/医学物理士)の研究室に所属し、放射性薬剤を患者に投与して心臓や脳、腫瘍などをガンマ線カメラで撮像する核医学診断機器の研究に取り組んでいます。研究グループでは、京都大学で宇宙線観測用に開発されている電子飛跡検出型ガンマ線コンプトンカメラ(ETCC)を応用した撮像機器を開発するとともに、親核種を海外からの輸入に頼らざるを得ない放射性核種「テクネチウム99m」(Tc-99m)に替えて、国内で安定供給が可能な「テクネチウム95」(Tc-95)の最適な合成法を確立。マウスを使った生体撮像に成功しました。

遠藤さんは理学部物理学科在籍中に、物理学の知識や成果を医学に応用?活用する「医学物理」に興味を持ち、宇宙線物理学が専門の櫛田淳子教授の研究室に所属。大学院進学後も、櫛田教授の共同研究者である株木講師の下で研究に励んできました。「今回の撮像実験の成功は、多くの先生方や先輩が長年にわたり積み上げてきた実績があっての成果です。研究に従事された方々に感謝するとともに、学会発表の機会をいただき、受賞できたことを光栄に思います」と喜びを語ります。「ETCCの撮像実験をさらに進めるとともに、短時間で撮像できる方法を確立するのが次の目標です。将来は医学物理士の資格を取得し、核医学診断を通じて人々に貢献できるよう努力します」と意欲を語ります。

株木講師は、「遠藤さんの学会発表は論旨が明解で、質疑応答も質問者の意図をしっかり理解して的確に回答していました。そうした対応も評価されたと思います。学部生時代から高いモチベーションで研究に臨んでおり、その姿勢は今も変わりません。医療機器のゼロからの開発は得難い経験です。ぜひ今後に生かしてほしいと思います」と激励。櫛田教授は、「ETCCを用いた撮像実験に繰り返し参加するなど、遠藤さんは今回の成果に大きく貢献しています。学部生時代から明確な目標を持って研究に挑み、先輩からの教えを受け継いで献身的に後輩を指導する頼もしい存在でした。研究室の伝統を守り、盛り上げてくれる先輩としても期待しています」と話していました。