大学院総合理工学研究科の田中さんがbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户6年度日本水産学会北海道支部大会で2年連続となる最優秀学生講演賞を受賞しました

大学院総合理工学研究科1年次生の田中海さん(指導教員=櫻井泉教授?生物学部海洋生物科学科/北海道地域研究センター特定助手)が、1月11日に北海道大学函館キャンパスで開かれたbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户6年度日本水産学会北海道支部大会で研究成果を発表。2年連続で最優秀学生講演賞に選出されました。同学会は、漁業や養殖をはじめ、水産食品の製造加工、水生動植物,生物資源、経済など水産に関して幅広い学問分野を網羅する学術団体です。北海道支部では毎年1回、支部大会を開いており、北海道内の研究者や大学院生らが日ごろの研究成果を発表。最優秀講演賞と最優秀学生講演賞の表彰が行われています。今回は、学生、大学院生による発表は16件ありました。

大会委員長の北海道大学大学院水産科学院教授?都木靖彰氏(右)から表彰状を授与される田中さん

田中さんは、「マナマコの夏眠開始サイズに関する実験的検討」のテーマで発表。生物学部海洋生物科学科在籍時から取り組んできた稚ナマコの生態に関する研究を深化させ、マナマコの完全養殖や種苗生産時に問題となる夏季に「夏眠」と呼ばれる行動をとる際の条件やその影響に関する研究成果をまとめて紹介しました。マナマコの夏眠は、成長停滞や内臓退縮、活力低下を伴うため、資源利用上の問題を引き起こしますが、夏眠を開始するサイズは不明でした。本研究では、計43 個体を1トン水槽に収容し水温を自然条件に合わせた飼育下を設定し、夏眠の有無や夏眠時とその前後における行動を観察してきました。2024 年7月から10 月末まで、毎日夏眠の有無を確認するとともに、撮影した画像から体長を測定したほか、試験期間中に確認された内臓の吐出を顕微鏡下で観察。その結果、これまで夏眠しないと考えられていた稚ナマコが、15mm以上に成長すると夏眠することを明らかにし、20mmサイズまで陸上飼育する種苗生産において15mm以上の個体について暗所の設定や給餌量の調整など飼育管理の改善を提言しました。

田中さんは、「マナマコは夏眠時に腸をすべて吐き出すことで老化物質を体内からなくし、新しい内臓を形成しなおしますが、成長面での影響に関する研究は進んでいませんでした。また、夏眠時には重力に逆らうように壁面に付着する、暗所を好むといった行動をとりますが、養殖を行うにあたってはそのための最適な環境を構築する必要があります。今回の知見が得られたことはマナマコの完全養殖に向けて一歩前進する成果となりました」と話します。指導に当たる櫻井教授は、「この支部大会は北海道内各地を年ごとに巡回して開かれていますが、発表者の多くが北海道大学の大学院生であり、なおかつ会場も北大のキャンパスというアウェーの状況下で、田中さんは堂々と発表に臨んでくれました。昨年度の受賞もあり、学内はもとより実験に協力いただいている留萌市の皆さんの期待も高い中での成果であり、今後も全国規模の学会等で活躍できるよう研究を進めてほしい」とたたえます。

今年度、札幌キャンパスの大学院生物学研究科から博士課程の総合理工学研究科に進むと同時に、本学の特定助手としても勤務する田中さん。生物学部の実験?実習の一部を担当するなど、研究と共に後輩たちの指導でも多忙な日々を送っています。「受賞は櫻井先生や留萌市の皆さん、研究室の後輩たちの手厚い協力があってのことで、恩返しできてほっとしています。時間はかかるかもしれませんが、今後も効率的な種苗生産や完全養殖に向けて研究を進め、さまざまな機会で発表していきたい」と意気込んでいます。