海洋生物科学科では3月25日に、北海道留萌市の留萌産業会館で、同市にある本学の北海道臨海実験所を活用した卒業研究の成果発表会を開催しました。本学が寿都町と留萌市に設置している本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーションを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、昨年度からはじめたものです。寿都町での報告会はすでに2月23日に実施しています。今回の発表会は、留萌市農林水産課との共催によるもので本学のほかにも、公立はこだて未来大学や稚内水産試験場の研究者らも留萌地域で実施した研究の成果を報告しました
当日は、海洋生物科学科の4年次生による2件の発表を含む7件の課題について各10分ずつ発表し、続いて各5分程度の質疑応答を実施。留萌市の副市長を始めとする市役所職員や、新星マリン漁業協同組合の職員、漁業者、北海道開発局留萌開発建設部?北海道庁留萌振興局などの官公庁職員、水産試験場の研究員、環境調査会社?建設会社の社員ら62名が参加。種苗生産から中間育成、資源管理に至るまでマナマコに焦点を当てた発表が中心ということもあり、本種の増養殖に取り組む漁業者らから熱心な質問が寄せられました。
北海道臨海実験所所長を務める櫻井泉教授は、「留萌地域では、近年需要が増加しているマナマコの資源増大に向けて、2007年度より本種の種苗生産に取り組んでおり、種苗育成用の餌料開発や放流種苗の生残率向上が大きな課題として残されています。こうした背景を受け、本実験所では14年度から種苗の高成長?高生残を期待できる初期餌料や中間育成施設の開発を市役所や民間会社と共同で進めています。発表の多くは中間報告となりましたが、参加者の関心は非常に高く、質疑では多くの質問や意見を寄せていただきました。学生にとっては、自分の取り組んだ研究が社会に貢献していることを実感できたのではないかと思います。15年度からは、北海道開発局が主催するマナマコ増養殖事業に参画することもあり、本実験所ではマナマコ研究を主体的に続けていくことになります。また、マナマコ増養殖以外にも本学が地域産業の活性化に貢献すべく、こうした研究報告会を今後も続けていきたいと考えています」と話しています。
当日の発表課題と発表者は以下の通りです。
「マナマコ中間育成施設の開発」久野二千翔(海洋生物科学科4年次生)
「養殖マガキを食害するオウウヨウラクの分布と初期発生」小野寺理恵(同)
「初期餌料の違いがマナマコの稚仔生残および成長に及ぼす効果について」櫻井泉(海洋生物科学科教授)
「平成26年度マナマコ試験事業について」山田晃平(留萌市農林水産課主事)
「平成26年のマナマコ資源状況について」佐野稔(稚内水産試験場主査)
「ナマコの桁網とタコのイサリに装着したカメラによる映像撮影」長崎健(公立はこだて未来大学准教授)
「マリンITの出帆」和田雅昭(公立はこだて未来大学教授)