高輪キャンパスでは、このほどスマートゴミ箱「BigBelly Solar(ビッグベリーソーラー)」をNSW(日本システムウエア株式会社)の協力で試験的に導入し、1月21日から使用を開始しました。このゴミ箱にはソーラーパネルが付いており、太陽エネルギーを利用した自動圧縮機能を備えています。また、通信機能も搭載されており、ゴミの蓄積状況をさまざまなマルチメディア通信サービスが利用可能な「3G回線」経由で自動的に通知し、スムーズなゴミ回収が可能になるなどのメリットがあります。アメリカやヨーロッパの多くの大学ですでに導入されていますが、日本では本キャンパスが初めてです。
これまで、スマートゴミ箱導入の狙いはオーバーフローしそうなゴミ箱だけを回収できるといった作業の効率化など、行政的なメリットが注目されてきました。撫中達司教授(組込みソフトウェア工学科)を中心とした研究チームでは、ゴミの蓄積状況や種類などのデータを解析し、効率的な回収のみならず、廃棄されたゴミから得られるさまざまな情報の活用法を探る実証実験を開始。同研究室の学生が卒業研究で学生のゴミ箱利用状況やゴミ捨て行動の解析に取り組むなど、研究に活用する予定です。
「スマートゴミ箱は、ゴミさえも情報源とみなすという意味で、さまざまなものをネットワークでつなげるIoT(Internet of Things)の象徴的な存在です」と撫中教授。「このゴミ箱を使い、どのようなものがどの段階で捨てられるのかなどの情報を得て、それをものづくりの現場にフィードバックできれば、いずれは工場からゴミ箱までトータルに見通したものづくりを考えることができるようになります。日本と同様にものづくり大国であるドイツでは、製造コストを極小化することでサービス業に牛耳られがちなものづくりの現場を活性化させようというインダストリー4.0(第4の産業革命)が進められています。日本でも、このような取り組みを通して求める人の好みや嗜好に合ったものを無駄なく提供し、コストを極限まで抑えた多品種少量生産が可能になります。研究は端緒についたばかりですが、まずはこのゴミ箱を使うことで、学生たちにIoTを身近に感じてもらえれば」と話しています。