健康学部では3月11日にオンライン公開セミナー「地域で安心して生み育てる環境に必要なことは?」を開催しました。本学医学部と、女性教職員のワークライフバランス推進などを検討する「クロスロード?フォーラム」、学生や教職員のQOL向上を目指す「bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户KENKOプロジェクト」との共催で初めて開催したもの。地域周産期医療の現場で奮闘する葛飾赤十字産院院長の三石知左子氏と地域住民の教育にかかわる研究を行ってきた自治医科大学准教授の角川志穂氏が講師を務め、学内外から約60名が参加しました。
はじめに堀真奈美学部長が、多職種をつなぐ役割を担う人材育成に取り組んでいる本学部の学びを紹介した後、三石氏が「周産期医療施設の地域における役割とそこに従事するスタッフへのキャリア支援について」をテーマに講演。診療科別、年齢階級別産婦人科医師数の男女比などを解説し、「キャリア15年の女性医師の半数に子どもがおらず、35~40歳の女性産婦人科医師の半数は本来の仕事である分娩に関与していない」という現状を紹介しました。さらに、妊娠中から公的支援を必要とする「特定妊婦」には多職種と連携して切れ目のない支援を行う必要があることも説明し、実際の事例をもとにソーシャルワーカーや児童相談所、地域保健師とのかかわりについても解説しました。「女性医師も男性医師も継続的にキャリアを積んでいける職域環境を整備することで、安全で質の高い医療を提供できる病院になると考えています」とまとめ、部下や同僚らの育児や介護?ワークライフバランスに配慮?理解のある上司を指す「イクボス宣言」をしたことも紹介しました。
続いて「地域で安心して生み育てるために~現代の家族のかたちから思考する~」と題して講演した角川氏は、高年妊娠は妊婦自身も胎児もリスクが高まることや、体力の低下で育児がつらい、高齢の両親に世話を頼めない、両親の介護も担わなければいけないといった実情を解説し、産後ケア事業や産後院などのサポートも紹介。共働き夫婦の子育て実態を調査した結果にも触れ、「周りが支援をしてくれる、気持ちを満たしてくれるとお母さんは赤ちゃんに力を注げるようになります。父親をはじめ家族が母親の子育ての緩和剤になるといいのではないでしょうか」と話し、祖父母学級や家族学級といった皆で育児について考える催しを企画していることも紹介しました。
その後、本学科の古城隆雄准教授の司会で三石氏、角川氏が参加者の質問に答えるパネルディスカッションを実施。最後に、医学部の坂部貢学部長(副学長?医系担当)が「女性医療従事者のキャリア支援体制をデザインするための宝のようなお話だったと思います。それぞれの地域で安心して子どもを産んで育てるための障害とそれに対する具体的な方策についても詳しく示していただき、大変勉強になりました」と話し、山田清志学長は2022年度に児童教育学部を開設する計画に触れ、「健康学部や体育学部、他の学部とも連携して、今日のようなお話を学生に提供する機会をつくっていきたいと考えています。先生方には今後も私たちの活動へのご指導をお願いしたい」と語りました。