第62回公開セミナーLet’s不思議!「地域での学びを通して次世代を担う若者を育てる」を開催しました

九州キャンパスが熊本日日新聞社と共催している第62回公開セミナーLet’s不思議!「地域での学びを通して次世代を担う若者を育てる」を10月24日に、熊本キャンパスで開催しました。本セミナーは、大学の知を社会に還元することを目的に学内外の専門家が科学技術、政治経済、スポーツ、環境など時事問題や社会状況に合わせたさまざまなテーマについて語るものです。その内容は後日、県内で多数の読者を持つ熊本日日新聞の紙面で詳細が報じられています。今回は、本キャンパスが来年度から文理融合学部と農学部の2学部体制となることを受け、地域と連携した学びと人材育成のあり方についてあらためて考える機会にしようと、基調講演にNPO法人共存の森ネットワーク理事長の澁澤寿一氏を招くとともに、澁澤氏や県教育関係者、熊本県立熊本工業高校の生徒、本学学生によるパネルディスカッションを実施しました。

当日は、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户感染症拡大防止の観点から会場には関係者と高校生?学生のみが来場。セミナーの動画を後日、オンデマンドで配信するハイブリッド形式としました。初めに荒木朋洋九州キャンパス長があいさつし、本学が来年度に全学的な実施を構想している改組改編について紹介するとともに、本学の創立者?松前重義博士が教育?研究の指針に掲げた文理融合の考え方を説明。「今日の文明社会は高度な科学技術によって支えられており、この10年でも驚くほどのテクノロジーの進化がありました。しかし、人々がその使い方を誤る恐れもはらんでいます。現代の世界では、地域紛争や飢餓、民族対立など依然として多くの問題を抱え、さらにこの度のbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户感染症拡大など、急激に社会の構造が変化しています。そのような中にあって、本学では2018年度から地域の課題解決を教育に生かすパブリック?アチーブメント型教育をカリキュラムに取り入れており、今後も未来を創造する人材の育成に取り組んでいきます」と述べました。

続いて登壇した澁澤氏は、「『聞き書き』を通した人材育成のすすめ」をテーマに講演。日本や各国の環境NPOと森づくり、地域づくり、人づくりの活動を実践しているほか、バイオマスを利用した地域内循環システムづくりや里山保全などに取り組む渋澤氏は、2002年から農林水産省や文部科学省、環境省などとともに全国の高校生が「森や海の名手?名人」を訪ねる「聞き書き甲子園」の運営に携わっています。講演では、聞き書き甲子園に参加した生徒の成長の様子や、持続可能な社会のあり方などに触れ、「聞き書きは言葉にならないものを受け止めて、言葉で伝える作業であり、話し手の人生や生業を聞き手が聞き出し、話し手の言葉だけでまとめ読者に紹介します。聞き書き甲子園では生徒たちが話し手の仕事場や家で話を聞き、その人が生きてきた情景を思い浮かべ、少しでもその人のことを知ろうとします。生徒たちは、聞くだけでなく五感で相手の言葉に向き合っています」とその魅力を語りました。

「地域の学びを応援する」と題したパネルディスカッションでは、コーディネーターを務めた経営学部の前田芳男教授が登壇者の紹介と趣旨を説明。続いて、熊本県教育委員会委員で農林業家の吉井惠璃子氏が「久木野地域における伝統芸能活動について」と題して、熊本県水俣市の久木野地区における小中学校での教育や伝統芸能の保存の様子を紹介しました。熊本工業高校の中村満教諭と同校工業化学科に在籍する生徒たちは、SDGsの達成に向けて取り組んでいる熊本市内の江津湖における外来水草の除去と科学的有効活用法の検討や、マイクロプラスチックの汚染状況調査といった活動の詳細を報告。また、熊本キャンパスを拠点に活動するスチューデントアチーブメントセンター?阿蘇援農コミュニティープロジェクトの河井大明さん(農学部4年次生)は、活動内容を紹介するとともに、「交流を通した地域貢献と農業従事者の増加に向けて、これからも積極的な活動を展開し多くの学生が農業に触れるきっかけをつくっていきたい」と抱負を語りました。発表後は前田教授の進行で、渋澤氏も交えて質疑応答も実施。地域活動を通じた学びのあり方や高校生、大学生の将来像、聞き書きの教育への活用など多岐にわたる話題で活発に意見を交換しました。

なお、本セミナーは11月21日(日)付けの熊本日日新聞紙面で紹介され、その後インターネットで動画配信されます