海洋学部水産学科の李銀姫准教授の研究室では、5月12日に静岡キャンパスで講演会「海苔漁師と考える日本の海×海業の可能性」をテーマに講演会を開催しました。小規模漁業に関する研究を展開する本研究室では、李准教授と学生たちが実際に静岡県内外の漁村に足を運びながら現状を把握するとともに、課題解決に向けた情報発信を進めています。今回の講演会では、宮城県東松島市の海苔漁師?相澤太氏(アイザワ水産代表)と同市を拠点に子どもたちへの自然教育を進める成澤みく氏(ODYSSEY代表理事)が、小規模漁村の現状や未来について語りました。
当日は、李准教授の授業を受講する学生や静岡県内の漁業関係者ら約100名が参加。相澤氏は、「日本では海苔の漁獲量が減少する中、海外からは安価で輸入できるようになっています。技術を抱えるだけでは衰退していくと考え、日本各地で海洋環境と食に関するワークショップなどを開催するようにもなりました。最も大切なことは、食べる人に喜んでもらえる海苔をつくりたいという気持ちであり、これからも世代を超えて多くの人々と意見を交換しながら、日本の漁業の発展に貢献していきたい」と話しました。成澤氏は、東松島市に生まれ、アメリカハワイ大学マノア校平和紛争解決学部に留学しながらパールハーバー国立記念館などで国際平和教育事業に従事してきた経歴を紹介。12歳の時に東日本大震災を経験したことから、現在は同市のサケ漁師と連携しながら小規模漁業の持続可能性や海洋人類学について平和学の視点から検討しており、「人類が海と共存し続ける豊かな未来を築けるよう研究活動を続けていきたい」と語りました。
講演会後には、聴講に訪れた学生らから多数の質問が寄せられ、相澤氏と成澤氏は写真などを紹介しながら一つひとつに丁寧に回答していました。