海洋学部水産学科の秋山信彦教授が研究開発に協力している、日建リース工業株式会社による三保の地下海水を使った魚の陸上養殖の取り組みでこのほど、アニサキスなど寄生虫の感染リスクがないサバの養殖に成功。養殖場に近い富士山世界文化遺産の構成資産である三保松原にちなみ「三保松(みほのまつ)さば」と名付けられました。6月30日には静岡市内で試食会が開かれ、静岡市の難波喬司市長ら行政関係者、静岡県内の企業関係者ら、内田晴久静岡キャンパス長や齋藤寛海洋学部長、秋山教授ら本学関係者も出席しました。
静岡キャンパスのある三保半島に開設された三保地下海水養殖センターでは、秋山教授や静岡市などとの産官学連携で、2021年に「三保サーモン」の養殖にも成功しており、今回のサバは地下海水による陸上養殖魚の第2弾となります。地下数十メートルにある砂礫層を通ってろ過された海水が掛け流しで使われ、ほぼ無酸素で寄生虫がいないため、身だけでなく肝や白子など内臓も生で食べられます。静岡市が市内で水揚げされる魚介類を認定する「しずまえ鮮魚」にも選ばれており、今後はこの取り組みに賛同する「なすび総本店」(清水区富士見町)など3店舗で計1000匹分が数量限定で提供されます。
刺身や短時間で揚げたフライ、白子や卵を使ったメニューなどが並んだ試食会では、秋山教授が地下海水を使った陸上養殖の過程や環境面、衛生面でのメリットを解説。「当時の清水商工会議所と地下海水を使用した陸上養殖技術の開発は、静岡県の副知事を務められていた難波現静岡市長に多大な協力をいただき進展しました。現在ではでさまざまな魚種の養殖も実用化に向けて研究開発が進んでおり、三保の地が陸上養殖のメッカになるよう本学でも協力していきたい」と語りました。