マイクロ?ナノ研究開発センターが第74回講演会を開催しました

マイクロ?ナノ研究開発センターでは6月20日に、湘南キャンパスで第74回講演会を開催しました。分野横断的かつ独創的な研究を推進するため、さまざまな分野の研究者らを招いて定期的に実施しているものです。今回は、金沢大学ナノ生命科学研究所准教授の新井敏氏が、「細胞の温度をはかる?制御する細胞熱工学」をテーマに講演。オンラインも併用し、理学部や工学部の研究者、大学院生ら多数が聴講しました。

新井氏は、細胞の活動を熱で制御する「細胞熱工学」の概要について説明。細胞内の温度を光の情報に変換して計測?可視化する技術や、1つの細胞の中に人工的に極小の熱源をつくり、おきゅうを据えるようにして熱で細胞の機能を制御する技術を紹介しました。また、これらの技術を用いて開発した「ナノヒーター」(光の照射により熱を発生する色素と、細胞内の温度上昇をリアルタイムで計測できるセンサーを搭載したナノ粒子)について解説するとともに、がんの細胞死への誘導や筋肉の細胞収縮の制御といった、ナノヒーターを用いた実験結果も紹介。「細胞というミクロな世界で自在な温度制御ができれば、細胞レベルでの生命システムのコントロールが可能になります。細胞熱工学は、新たなバイオテクノロジーの創出につながると考えています」と語りました。

講演後には多くの質問が寄せられ、ナノヒーターの詳細や技術の応用の可能性などについて意見が交わされました。